リーダーに欠かせない「人を信頼する力」はどうすれば身に付くのか？
僕が社長に就任したのは今から２５年前、当時は「強いリーダーシップ」が主流でした。
全く強くない僕も、一生懸命に強いリーダーを演じました。
でも、まだチームができていなかったので大変な思いもしたのですが、その時に社員さんに言ったひとことがあります。
「オレを信じてついてきて欲しい」
しかし、そう簡単に信頼してもらえるわけがありませんよね。
というかこの考え方では信頼を得ることはできないと思います。
「みなさんを信頼している」…まずは僕から相手を信頼することだと思ったのです。
信頼関係は相互で成り立つもので、まずは自分から信頼することだと。
しかし、信頼って口で言うほど簡単なものじゃない。
そもそも人には防衛本能があるから他人を疑うようにできています。
信頼という根本にして困難な心構えはどうすればできるのでしょうか？
どんな人にもある、無条件に信頼できるもの
先日、親友と「ゼロサロン」という会を立ち上げました。
指示ゼロリーダーの心得を考える会です。
打ち合わせの中でも信頼に関する話題が出ました。
僕は人を１００％信頼できなくても良いと考えています。
悪いヤツもいるからね。
信頼できる時もあれば、そうでない時もある…それで良いと。
でも、１つだけ無条件に信頼できることがあると思います。
それは何か
その話の前に、興味深い話を。
以前に、「おくりびと」の原作者、青木新門さんの講演を聞いたことがあります。
その中で、ある心療内科の先生の話がでました。
心療内科には心を病んだ方が来ます。来る患者の多くが「先生、私、もう死にたい…」と言う。そんな人を毎日のように相手にしていると、心が病んでしまうと言います。
疲れ切って「もう続けられない」と思ったそうです。
しかし、そんなある日、同じように「死にたい…」と言う患者から違うものを受け取ったそうです。
「彼らは、言葉では『死にたい』と言っているが、命は『生きたい』と言っている」
心を病んで、辛い毎日を送っている…死んでしまいたいくらい精神が枯れた毎日が続いている…
そんな彼らが、今、この瞬間に自分の前に来て、助けを求めている。
命の力だけは無条件に信頼することができるし、その輝きに触れた時に何とも言えない尊敬の念を抱くのです。
無条件に信頼できるものを観れば意識が変わる
この話が僕には衝撃的でした。
講演会が終わり会社に戻ると、あるスタッフがいました。
そのスタッフは、いつも立派なことは言うが行動が伴わない人でした。
彼は、その日もいつものように持論を展開していました。
僕は、その時、彼から発せられるエネルギーを観ました。
喋っている内容ではなく。
エネルギーが行動に繋がっていないけど、確かに生命力を受け取ったのです。
その瞬間に、何だかそいつが愛おしく思えたのです。
「生きてるな〜」と。
そして、いつもなら「また偉そうなことを言って…」と見下したのが、その日は「そうか、がんばってくださいね！」と言えた。
講演会の余韻があったから、そのひとことが言えたのだと思います。
３日経ったら元に戻ってしまいましたがね 笑
でも、彼との関係性が変わるキッカケになったのは事実です。
時間はかかりましたが、彼は徐々に行動をする人間に成長しました。
「行動した」
「成果を出した」
条件をつけると人を信頼できたり、できなかったりですが、人に備わっているエネルギーは信頼することができるし、それがある限り人は必ず成長するのだと思います。
それでは今日も素敵な１日をお過ごしください。
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