リーダーが教育熱心になり過ぎると人が育たないワケ
人は、誰かの手によって変えられたくない
人材育成に熱心なリーダーが陥る罠があります。
それは理想が高く、自分の思うように部下を変えようとすることです。
リーダーの願いは「もっと自発的になって欲しい」「成果に対する意識を強く持って欲しい」「協調性を持って欲しい」…挙げればキリがありません。
しかし、他人は思うように変わってはくれません。
「馬を水辺に連れていくことはできても水を飲ませることはできない」という諺の通りだと思います。
部下も、自分を変えようとするリーダーの姿を見るとウンザリすると思います。
熱意がアダになるのです。
僕自身、経験があります。
30代の頃、社員1人あたり、年間で100万円ほどの研修費をかけた時期がありました。
個々の社員の足りない部分を埋めるために、様々な研修を調べ派遣したのです。
中には厳しい研修もありました。
一生懸命な僕を見て、ある若い男性社員が怒りを込めて言いました。
「俺をどうしたいんですか?」と。
彼は僕の手で変えられたくなかったのです。
そう言われた時は「お前のためだ」とムッとしましたが、彼の言葉を今でも覚えているということは、相当なインパクトがあったのだと思います。
同時期に、アルバイトの男性(本業は農家)からもこんなことを言われました。
「野菜を無理やり育てようとしても育たない。人間も同じじゃないかな?」
穏やかに言ってくれましたが、僕にはすごく衝撃的な言葉でした。
人材育成の根本が間違っていると思ったのです。
人は自らの意思でのみ動く、自らの意思でのみ成長する
同じ時期、当時3歳だった息子がバイオリン教室に通い始めました。
世界的な名プレーヤーを輩出している「スズキメソード」です。
そこでの教育法が僕の考え方に絶大なインパクトを与えたのです。
入塾してからしばらくの間、息子ではなく妻がバイオリンを演奏しているではありませんか。
「お前も習っているの?」と聞くと「違う、まずは私が1曲演奏できるようにならないといけないの」と言います。
変なの、と思いながら日々を過ごしていると、「その瞬間」が訪れました。
ある日の教室で、妻が楽しそうに弾いているのを見た息子が「僕にもやらせて」と言ったそうなのです。
その瞬間、妻が持っていたバイオリンが息子に渡されたのです。
「馬を水辺に連れていくことはできても水を飲ませることはできない」
小さな子どもを教室に連れて行くことはできても、バイオリンを弾かせることはできません。
無理やり弾かせるとバイオリンが嫌いになってしまいます。
職場も同じだと痛感したのです。
職場に当てはめると、まずは自分が仕事を楽しむことです。
部下を変えることを考えずに、自分が思う存分に楽しむ。
また、ヤル気のない社員に目を向けるのではなく、ヤル気でがんばっている社員を見て、一緒に楽しむことです。
「水が飲みたい」と思った人は、自分に足りない知識やスキルを自ら求めるようになりました。
当社で、具体的に何が変わったかというと、社員が自分で研修を探すようになったことです。
人は自らの意思でのみ動く。
自らの意思でのみ成長する。
この真理に基づくならば、リーダーの役割は、動き成長したくなるような環境を創ることです。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。
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