当社が初の決算を迎え、指示ゼロ経営への思いを再確認しました

ここ数年、自律型組織への関心が高まっています。
ティールやホラクラシーといった書籍が出版され、世界的に注目されています。

今日の記事では自律型組織がなぜ今の時代に注目されているか?
実際にやるとどんな効果があるか?
どんな苦労があるか?

23年間、社長を務めた会社では18年間を自律型組織で運営してきました。
今日は、独立して1年が経ちます。
実際にやってみたから分かる、指示ゼロ経営のことを書きたいと思います。

指示ゼロ経営は人を「仕事の主」にする

僕が自律型組織を始めたのが今から約18年前ですが、当時は「キワモノ扱い」でした(笑)
指示・管理がなくて経営が回るはずがないと、多くの人に言われました。
「ヨネちゃん、大丈夫?」なんて心配する人もいたし。

僕に先見の明があったわけではありません。
他の業界よりも早く成熟期を迎えた、ただそれだけの理由です。

僕は、24年前の1995年に、父の急逝で24歳で新聞店の社長に就任しました。
その年はインターネット時代の幕開け、新聞市場のピークで、それ以来業界は衰退しています。
もう、何をどうしたら良いか分かりませんでした。
変化が激しく何が正解か誰にも分からない、生活者の欲求がどんどん高度かつ抽象的になっていく時代です。
色んなことに挑戦しましたが、すべて失敗。

「自分1人の知恵では限界」…そう感じ、集合知の経営(三人寄れば文殊の知恵)に経営のOSを入れ替えました。

同じ状況に身を置く企業は多いと思いますし、だからこそ自律型組織が注目されているのだと考えています。

社員集団が自分たちで課題を見つけ、知恵を出し合い解決するのだから、現場は自動的に良くなっていきます。
当時、僕にはビジョンもビジネスモデルも示すことはできませんでした。
本当に何をしたら良いか分からなかったのです。
ただ、想いだけはあった。
「仕事を通じ、真に幸せな人生を送ってほしい」
具体的には、指示命令ではなく自らが仕事を創造し仕事の主となり、個々が持つ才能や特性が活きたら、仕事そのものから悦びが得られると思いました。
「自分だからできることで人に喜ばれ、『私ってイケてるじゃん』と思える瞬間が体験できる会社にしたい」
そうすることで創造性が発揮され、上質、高価値な仕事になり、商売が繁盛し、みんなが物心ともに豊かになれると思ったのです。

幹部社員に僕の思いを伝え、それを基にみんなでガチンコの創発をしてビジネスモデルを考えました。

実際に、会社は新聞店の枠組みを超えた地域づくりの仕事をメイン業務にし、ホテルの管理運営まで行う、業界唯一の変革に成功しました。
何よりも、仕事の主となった社員の輝く姿が嬉しかったです。

一番大変なことは信頼関係の構築

最初の課題は、社員との共依存を断ち切ることでした。
僕だって頼りにされ、「社長、すごいですね」と言われたい。
社員も僕に面倒を見て欲しいと思う。
この共依存関係を断ち切らないと指示ゼロ経営はできません。

社員には仲間がいますが、社長は孤独なので辛い時期もありましたが、何も1人で悩むことはないと気付いた時に、指示ゼロ経営が理解できたと感じています。
社員も、社長の悩み=会社の課題=自分たちの課題、と捉えますから1人で考え込むことは少なくなりました。(ゼロになったわけではないが)

それよりも大変だったのは、社員集団が自走しますので、ドキドキ・ハラハラしたことです。
もっと正直に言うと「怖い」ということです。

リーダーの思惑と違うことを始めたらどうしよう、好き勝手になったらどうしよう、そんな恐れがつきものです。

でも、それは杞憂で終わることが多いと思います。
会社を悪くしようと思っている社員がいれば別ですが、そんな社員はいません。
社長と同じように良くしようと思っている。
ただ「良いかたち」の捉え方が違うことはあると思います。
例えば、社長は新聞店のままでV字回復をしたい、社員は業態を変えたいと思っている、そんなズレです。

もし、社長に「良いかたち」へのこだわりが強ければ、それを社員に伝え理解してもらう事だと考えます。
ただ、それが正解だとは限りません。
間違っていると気付いたら、社員の意見に耳を傾けなければなりません。

他にも、社員が自ら課題を見つけますので、社内は課題だらけになります。
今まで課題が封殺されていたことに気付きました。
社長は責任感から、それらは全て自分の責任と考えてしまいます。
もちろん最終責任は社長にありますが、課題を解決する責任は全員が負います。

と、記事内では書ききれない悦びと苦労がありますが、僕がこの経営法を世に広めたいと思うのは、やはり「仕事を通じ、物心ともに真に人生が豊かになる」からです。

実際に、指示ゼロ経営を取り入れ集合知で業績を向上させた企業さんが出ています。

「仕事の主」となり、やがて自分の人生のハンドルを自分で握る「人生の主」になる。
そんな人がたくさん生まれたら、どれだけ素敵なことだろうと思っています。

というわけでこれからもがんばります。
指示ゼロを支持してくれる方々、本当にありがとうございます!
たくらみ屋と夢新聞の仲間たち、これからもよろしくお願いします!
これからも応援してくださいね。

誰も縛らない、誰にも縛られないあなたが大好きです!

株式会社たくらみ屋 株式会社Tao and Knowledge 代表取締役 米澤晋也


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