権限委譲が機能しなくなる時代

これまで私たちは「経験豊富」ということを無条件に評価してきましたが、正解がなく、不確実に満ちた時代ではその価値は激減しています。

経験豊富を賛美する文化に加え、日本は「権力格差」といって、権力に依存する度合いが大きいと言われています。
だから日本人は、最後に印籠で場を収めてくれる水戸黄門が大好きなのです。

「経験豊富を賛美+権力格差」はトップダウン型組織を大量生産します。

どういうことでしょうか。
トップダウン組織は「権限委譲」を仕組み化することで成り立ちます。
権限委譲とは、「私にもできるが、あなたに任せるよ」という制度です。
「このルールの範囲内なら自分で判断していいよ」というルールに基づきます。だから「範囲を超える案件は相談してね」という「お伺い」とセットになっています。

しかし、前例のない課題に直面した時は、さらに「経験豊富」な上へ立場にお伺いが上がっていくことになります。
結局、最後は社長のところに行くわけですが、社長はそれを社外の専門家や、同業者の先輩などに相談します。
彼らにも正解が分からないのですが、プライドが高い人は、分からないのに分かったような概念論をぶちまけて、その場を収めます。
かくして、具体性のない概念論が下にブレイクダウンされて現場が混乱するのです。

正解が分からないのなら「やってみるしかない」ということになります。「やっては結果を検証しやり方を変える」…この繰り返しで前に進むしかありません。
しかし、それをリーダー主導で行うとメンバーはリーダーがつくり出す変化に巻き込まれ疲弊してしまいます。
そして「リーダーがまた違うことを言い出した。一貫性がないよね」と批判するようになる。

それを言われるとリーダーは辛いですね。
やがてリーダーも変化を恐れるようになり、変化に弱い組織が出来上がるのです。

それを防ぎ、果敢に挑戦するためには、現場主導で変化をつくり出すしかありません。

ミツバチが、蜜を探す時に四方八方に散り、蜜を発見した蜂が「八の字ダンス」を踊り仲間に報せるように、現場でたくさん試し上手くいく方法を探るわけです。

これは権限委譲とは違います。
「決められたルールの範囲内でお願い」では、想定内の無難な仕事しかできず、前時代の「劣化版コピー」しか生むことができません。

「私にもできるが任せる」ではなく、「私にはできないことに挑戦してもらう」という、権限委譲とは違う論理が求められるのではないでしょうか。
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