社員の自発性は「諸刃の剣」という話

「社員に任せたら好き勝手になった」という話を時々聞きます。
しかし、よく調べると、任された側には、そんな自覚がないことが多いんですよね。それどころか、本気で会社を良くしようと頑張っているケースがほとんどです。

なぜ、そのような不条理が起きるのでしょうか?
その最たる原因は、課題設定の視座が社長と社員で異なることにあります。
例えば、ある地方新聞社では、購読者の減少に歯止めをかけるべく現場社員の知恵を取り入れることにしました。
すると、なんと「カラー紙面を増やそう」という提案が出たのです。
新聞制作に携わる者として、美しい紙面づくりは、何事にも優先する課題なのですが、それでは効果がないことは誰の目にも明らかですよね。

僕にも経験があります。
「現場の知恵を活かす」という美しい響きに魅了され、社員にアイデア発案から実行までを任せせたことがありました。
しかし、社員から出る提案は「福利厚生の充実」「配達ミスの撲滅」「顧客サービスの充実」といった的はずれなものばかりでした。
決して、これらが悪いわけではありませんが、経営者の僕からすればズレているのです。

というのも、新聞店にとっての最大の課題はビジネスモデルの賞味期限切れですので、業態転換こそが核心なのです。

僕は、この時に、経営者と社員の「視座の差」を痛感しました。
社員は、自分が担当する業務領域こそが「世界」です。配達の世界では配達ミスの撲滅こそ絶対正義なのです。

経営とは資源集中の技術です。
限られた資源を何に投下するか?…それを間違えると、何をやっても焼け石に水です。

社員に本質を見抜く視座があれば、思い切り任せればよいですが、そうでなければリーダーがポイントを示した方が互いに気持ちよく仕事ができますし成果も出ます。

そのためには、企業で起きる様々な問題の「根っこ」を突き止める必要があります。
人体に例えれば、発熱、咳、鼻水、節々の痛みなどがインフルエンザによって起きているのであるならば、そこに手を打つ=タミフルを処方すればよいということになります。

新聞業界で言えば、カラー紙面も配達ミスの撲滅も、大切なことですが、根本課題ではありません。

自社が本当に着手すべき課題は何でしょうか。

僕が経営した新聞店では「新聞事業に代わる事業創造」をポイントに掲げ、エネルギーを一点に集中させました。
そして、常に投げかけた問いはこれ。

「今ある経営資源の新しい活用法はないだろうか?」

現場社員の知恵は優れていますが、それが活きるかどうかは、急所の絞り込みにかかっています。
「もっと任せたい」そう思った時は、今日の記事を思い出していただければ幸いです。

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