「管理職になりたがらない問題」と真剣に向き合う

日本能率協会の調査によると、管理職になりたがらない人が77%にのぼることが明らかになりました。
中には「管理職は罰ゲームだ」と言う人もいるとか…
驚くべき実態ですが、この問題を「最近の若者は…」で片付けてはいけません。

というもの、管理職になるまでのプロセスが、以前とは大きく変わってきているからです。

❚ 管理職が「罰ゲーム」になったワケ

以前は、課長代理、課長補佐といった、いわば管理職の練習期間があり、課長のカバン持ちをすることで管理職のなんたるやを学ぶことができました。
それが、バブル崩壊後、組織の機能性を高めるために、企業各社はこぞって組織のフラット化を進めました。
「文鎮型組織」といって、中間管理職を置かず、トップの下にメンバーが全員フラットに並ぶ組織構造をとる企業が増え、練習期間がなくなってしまったのです。

その結果、部下の育て方を知らないまま、若くして突然管理職になるケースが増えました。
自分よりも年上の部下もいます。

育て方を知らないから上手くいかない。
それで上司と部下の板挟みにあう。
さらに、厳しいことを言うとパワハラと言われる時代です。

管理職が罰ゲームと言われれもしかたがないと思うのです。

❚ 部下の自律を前提に仕事を依頼する

そんな時代だからこそ、部下の育て方を必須科目にする必要があると考えています。

実は、部下育成のプロセスはシンプルです。
かの山本五十六は「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ」と言いましたが、「仕事を依頼し→フィードバックする」という二段階で育成します。

依頼には丁寧さが求められます。

例えば、「お茶を5本買ってきて」という雑な依頼では部下の考える力は育ちません。

・なぜお茶が必要なのか?
・いつまでに必要なのか?
・誰が飲むのか?
・ホットかアイスか?
・どこで飲むのか?

こうした情報…目的と背景を共有することで、部下の意思決定の質が変わります。
大事なお客様とのミーティングであればペットボトルと一緒にグラスも用意した方が良いですし、会議が長引く可能性があれば利尿作用のないカフェインレスを選んだ方が良いし、年配のお客様であれば温かいものが良いという判断ができます。

つまり、ただ手足のように使うのではなく「部下を育てるために依頼をする」という意識とスキルが求められるのです。

❚ フィードバックこそ丁寧に行う

育成は「仕事を依頼し→フィードバックする」という二段階で行いますが、依頼が丁寧であれば、自ずとフィードバックも詳細になります。
例えば、「この前、飲み物の買い出しをお願いした件なんだけど、会議の出席者が年配者だということに配慮しホットを選んでくれた。出席者はとても喜んでいた。ありがとう」と。

フィードバック=褒めるではありません。
「◯◯に関して」「何をして」「何が起きた」…この3点セットで丁寧にフィードバックします。詳細であるほど、部下は上司に信頼を寄せますし、逆に、いい加減だと「何も見ていないじゃねえか」と「信頼残高」を減らすことになります。

この信頼残高が重要なのです。
というのも、フィードバックには部下にとって耳の痛いフィードバック(ネガティブフィードバック)もしなければならない場面があるからです。
信頼残高があればネガティブフィードバックを受け入れてくれる可能性がぐんと高まります。

ちなみに、ネガティブフィードバックも詳細さが命です。
フィードバックとは、「現在、どうなっているのか?」…現状を明確にすることです。現状が明確になるから「では、どうなったら理想なのか?」…理想が描け、理想と現実のギャップを埋める方法を考えることができるのです。
カーナビと同じで、現在地と目的地が分かるからルートを検索することができるのです。

部下育成の本質は決して複雑ではありません。
目的と背景を伝えて仕事を任せること。そして、その結果を具体的にフィードバックすること。
この繰り返しが部下の判断力と自律性を育てます。

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