人を育てる鍵は「寛容さ」にあり。リーダーが心得るべき許しの作法

リーダーであれば、部下に対し「どうしてお前はこうなんだ」と不満に思うことがあると思います。リーダーだけでなく、部下が上司に対し思うこともあるし、同僚同士でもあるはずです。
そんな時に「もっと寛容にならなきゃ」と反省するのですが、なかなか変わることができません。

どうすれば私たちはもっと寛容になれるのでしょうか。

そのヒントは、実は私たちの足元にあるかもしれません。
というわけで、今日は「寛容のつくり方」ということを考えます。
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❚ なぜ日本人は寛容さを失ったのか?

最近の日本人には寛容さが足りないと感じている人は多いと思います。SNSやミュースサイトを見ると、容赦なく誰かを責めるコメントが溢れていますね。
先日、メンターにこのことを話すと「環境を考えよ」と言われました。どういうことかと思い詳しく聞くと、ネットの世界は人が不寛容になりやすい環境だと言うのです。

私たちの言動は、多分に環境の影響を受けます。
例えば、日本人は震災時などに、物資の供給の列に行儀よく並ぶことで世界から称賛されています。
しかし、一方で「旅の恥はかき捨て」という言葉もあります。

「他人の目」のあるなしで行動が変わるのです。

ネットに誹謗中傷が蔓延するのは「匿名で書き込める」という環境が影響していることは間違いありません。

僕は仕事柄、多くの企業を見る中で、良くも悪くも組織には個性があることを痛感しています。
社員さんがほとんど発言しない企業があるのですが、そこでは、消極的な人ばかりが集まってしまったのでしょうか。
助け合いができない組織もありますが、それができない人ばかりが集まったのでしょうか。
その可能性も否定はできませんが、まず疑うべきは「そうなってしまう環境がある」ということです。
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❚ 「する」と「される」の中間にある中動態に着目する

環境や文脈の影響で言動が変わることは「中動態」という概念で整理することができます。
中動態とは「能動」でも「受動」でもない様態を指します。

能動とは自ら他へ働きかけることを、受動とは他人から作用を及ぼされることを言います。
私達は、能動か受動か?と、物事を二元的に評価し人を裁きます。裁判では、犯罪を自分の意志で行ったか(能動)、誰かに強制されたか(受動)かで判決が変わります。
しかし「魔が差した」に代表されるように、二元的に評価できない様態があります。
この、どちらにも当てはまらない、「する」と「される」の中間にある様態が中動態です。

他にも、例えば「恋に落ちる」も中動態です。
自分から落ちたのか?それとも相手に落とされたのか?と聞かれてもハッキリと答えることができません。
その2人の物語の中で「思わずそうなってしまった」ということです。

「感謝する」「自発的になる」も同様ではないでしょうか。

こう考えると、リーダーが部下に望むことの多くは中動態で捉えることができます。
良い「思わずそうなった」が起きる文脈をつくることがリーダーの最大の仕事だと思います。
そして、文脈づくりは、互いの関係性でできるので、リーダー1人で作ることはできません。

日本には昔から「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があるように、寛容の資質を持った民族です。
足元にあるものを見つめ直すと、抱えている問題が解決に向かって動き出すかもしれません。
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