急な退職を「組織成長のチャンス」に変える採用術
急な退職者が出ると慌てふためいてしまいますが、その時こそ組織を底上げするチャンスです。
僕も経験していますが、多くの企業が「採用を変えたら一気に組織が変わった」という体験をしています。
これは偶然ではなく、新しく採用した人材が、組織が変わる「臨界点」のきっかけだったということです。
そして、工夫次第で臨界点を前倒しすることができるのです。
どのような工夫が考えられるでしょうか。
それを考える前に、臨界点の仕組みを確認したいと思います。
組織が変容する臨界点は、ある考えや行動をとる人の割合が、およそ20%を超えた時と言われています。その潮目を超えると雪だるま式に賛同者が増えていくのです。
これを学校で起きるイジメを例に見てみましょう。
イジメの問題を抱えている、生徒数10人の学級です。
教師は、イジメをなくしたいという思いを子どもたちに伝えました。そして、全員にアンケートを取りました。設問は1つだけ。「あなたは、何人がイジメを止めたら、自分も止めますか?」というものです。
その結果、次のような回答が得られました。
「止める人が0人でも私は止める」…1人(Aさん)
「1人が止めれば、自分も止める」…0人
「2人が止めれば、自分止める」…1人(Bさん)
「3人が止めれば」…2人(Cさん、Dさん)
「4人が止めれば」…0人
「5人が止めれば」…3人(Eさん、Fさん、Gさん)
「6人~8人が止めれば」…0人
「9人が止めれば」…1人(Hさん)
「10人が止めれば」…2人(Iさん、Jさん)
この回答を分布図にしてみましょう。
これを見ると、Bさんを節目に賛同者(CさんとDさん)が増えているのが分かりますね。
CさんとDさんの後には、さらに、Eさん、Fさん、Gさんと指数関数的に増えています。
ベテラン教師は、イジメをしている子の指導だけでなく、このメカニズムを活用し、イジメを止める人数が臨界点を超える工夫をするのです。
同じことが企業にも当てはまります。
どうすれば企業において、採用を臨界点突破の起爆剤にできるでしょうか。
その有効な方法として「採用チーム」を結成するという方法を紹介します。
求人をする際に、チームで、どんな人材が自社に相応しいか…人材像を絞り込みます。その過程では、自社がどんな価値観を大切にし、どんな働き方を目指すのかを明確にする必要があります。
例えば、僕が経営してきた新聞店では「その人だからできることで他者に喜ばれ人生を開花させる」という価値観を大切にしています。それを体現できるのは、自ら考え判断し行動する人です。
チームメンバーがこの議論に参画することで、自らが「そのような人材」に育っていくという効果があります。
つまり、あらかじめ「そのような人材」を増やしておき、そこに新しく採用した人が加わることで臨界点を超えトランスフォームするというわけです。
採用チームの人数は、採用を仕掛ける部署の20%ほどが理想です。
20人の部署であれば4人ほど。そこに価値観に共感した人が加われば5人となり、変革を推進できる勢力になります。
企業に急な退職はつきもの。
その時こそ、千載一遇の好機ということで、今日ご紹介した術を活用していただければと思います。
さて、10月に開催する「採用術セミナー」では、今日の内容を詳しく扱います。
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