未来は予測するな、創れ。経験豊富に頼らないマネジメント
日本には、経験豊富ということをこの上なく称賛する傾向がありますが、正解がなく、環境変化が激しい時代では、過去の経験は役に立ちません。
エアバッグを発明者である、本田技研の元研究員、小林三郎さんが、「ホンダ イノベーション魂」というDVDのなかで、「40歳を過ぎた人間はもう古い」という趣旨のことを言っていました。
まあ、とても「べらんめえ」な方で、落語でも聞いているような気分になりますが、内容は非常に濃いのです。
最初に聞いた時は、40歳は言い過ぎだろと思ったのですが、調べてみたらどうやらそのようなのです。
ディーン・キース・サイモントンという社会心理学者によれば、知的生産に関わる職業に就く人は、平均的には20年目に生産性のピークを迎え、その後は急速に低下していくそうです。
日本には年上の人を敬う文化がありますので、小林さんのような発言を毛嫌いする人が多いと思いますが、これから時代の経営において、決して避けては通れない課題だと思います。
では、古い人間は何をすべきでしょうか。
「新しい感性を持った人を活かすこと」ということになります。小林さんは、具体的には「アイデア出しは上司→実行は部下」という古い考え方を捨て、部下にアイデアを出させることだと言います。
ところが、ここで経験豊富が邪魔をします。アイデアが斬新であればあるほど、受け入れることができないのです。
しかも、面倒なのは、拒絶が「若いヤツが生意気な」という器の小ささから来るものではなく、自分の経験から、どう考えても間違っているとしか思えないことです。
これに対し、小林さんはこう言います。
「部下が本気で提案してきたら、目を見て騙されてやれ」
非論理的に聞こえるかもしれませんが、DVDを見ると、これが妙に説得力があるのです。
というか、正解がないのだから事前に成功するかどうかを分析することはできません。「市場はあるのか?」「利益は出るのか?」なんて分からないのです。百歩譲って、事前分析ができるとしたら、みんなが「正解」に飛びつくでしょうからイノベーションにはなり得ません。
私たちに馴染みの深い「目標管理」という概念は、ドラッガーが最初に提唱したものです。ゴールから逆算してやるべき事を浮き彫りに、計画的、予定調和的に達成することを目指します。
そこには「これをやれば、必ずこうなる」という確かな因果関係があり、だからこそ投資家から資金を調達できるわけです。
確証を異常に求める思考習慣を手放す時期なのかもしれません。
僕は、パーソナルコンピュータの父と言われる、アラン・Kの「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という言葉が好きです。
発明には「どうしても作りたい」という情熱が欠かせません。
確証がないものにYesを出すのだから、まさに「情熱に騙される」という表現が相応しいと思います。
「ホンダ イノベーション魂」とても面白いので、是非ご覧になって下さい。
それでは今日も素敵な1日を!
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