最低賃金引き上げは企業イジメ?…最低賃金1500円で起きる淘汰の激震
来る10月7日(火)に、とある商工会議所で賃金に関する研修を行います。
今日は、その内容を少しだけ先出ししたいと思います。
2025年度の最低賃金が1118円(全国平均)に引き上げられることが決まりました。金額、率ともに過去最大ということになります。
政府が賃上げ問題に本腰を入れ始めたのは、令和3年からです。世界の水準と乖離していることが白日の下にさらされたことで危機感が高まりました。
件の商工会議所の担当者は、機運の高まりに危機感を抱く経営者が急増していると言います。
令和3年度頭所は、「へ〜そうなんだ」といった感じで危機感は皆無だったと言います。翌年には「まあ、みんなで同調して価格転嫁すれば何とかなるでしょ」と、まだ呑気でした。
それが今では、価格転嫁は限界に達し、危機感を持つ経営者が急増したと言います。
この件を扱うニュース番組では、経営者の悲鳴に似た嘆きが聞かれます。
政府は、決して中小企業をイジメたいわけではありません。
調べると、スウェーデンやデンマークなどの経済政策を参考にしているふしがあります。
スウェーデンでは、業績に関係なく、どの企業にも一律の賃上げが義務付けられています。すると、生産性が低い企業は潰れてしまいますが、政府は「お構いなし」というスタンスなのです。
中小企業救済に多額の公的資金を投入する日本とは大きく異なりますね。
スウェーデンでは、日本よりも転職・再就職が慣例化しており、企業が倒産しても、労働者は生産性の高い企業に吸収されます。
それにより、キャリアUPを目指し自己研鑽しますし、多様なノウハウが社会に流通し、社会全体が活性化するのです。
スウェーデンでは、この施策によりこの20年間で50%もの賃上げに成功しています。
経営者が危機感を持つ理由は他にもあります。
ある報道で、経営者と社員との間に、賃上げに対する認識にズレがあることを伝えていました。
いわく、経営者の危機感に対し、社員の中には「やったー!給料が上がるぞ!」と手放しで喜んでいる人がいると言います。
社員は賃上げを期待する。経営者は対応に追われる…同じ目標に向かい力を合わせるという構図になっていないのです。
経営者が危機感を感じのも無理のないことだと思います。
社員が手放しで喜んでいる企業の特徴として「給料は社長(会社)からもらっている」という意識を持った社員が多いことがあります。
正しくは、お客様からいただいたお金を分配した一部が賃金ですので「お客様からいただいている」と捉える必要があります。
賃金に対する間違った認識を持つ原因は、お金に関する教育不足です。
「社員はお金の心配などせずに目の前の仕事に集中しなさい」という社長がいますが、その考え方が社長を孤独に追いやる最たる原因ではないでしょうか。
賃上げに対し前向きな企業では、社員は「賃上げのためには、どれだけの業績をつくる必要があるか?」を科学的な根拠をもって知っています。
当然、必要な情報が開示されていることが前提であることは言うまでもありませんが、全てをガラス張りにする必要はありません。
賃上げのために必要な経営数字が分かればよいのです。
賃上げ問題は、今が正念場です。
経営者と社員の利害を一致させれば、むしろ賃上げ問題を繁栄の追い風にすることができると思います。
さて、今日の内容を、より詳しく学びたい方は、諏訪商工会議所の研修に起こしください。
参加費は無料。オンライン参加もできますよ。
↓詳細はこちらから。
https://www.suwacci.or.jp/7893/
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