弱いからこそ繁栄する中小企業の条件

「企業を強くしたいか?」「 弱くしたいか?」と問われれば、誰もが「強くしたい」と答えると思います。
しかし、私たちがイメージする「強いもの」は実は、本当は脆弱ではないのか?
逆に、一見、脆弱に見えるものは、実は強いのでは?

今日の記事では、この問いから、中小企業が目指す「強さ」について考えてみたいと思います。

少し前に、X(旧Twitter)で「大企業勤務の人は、何があっても会社にしがみつけ」という趣旨の投稿があり注目を集めました。
誰もが知る大企業に勤めていた人が、勢いで会社を辞めたのですが、その後、満足がいく企業に入れず、かといって起業もできず後悔しているという話です。

この投稿を見て、改めて「ハイキャリアの脆弱性」を思ったのです。
大企業勤務は、一見、強いキャリアと思われますが、分業化された一部分を担っている以上、融通がききませんので、何かがあった時には脆いのです。

僕の友人に、工業高校で手に職をつけて、世間をたくましく、しなやかに渡り歩いている男がいます。一見、脆弱なキャリアに見えますが、実は非常にしなやかで強いのです。
いや「強い」という表現は適切ではないかもしれません。強いという言葉には、「変化にビクともしない」という印象がありますが、友人は、変化があるとかえって強くなるのです。
手に職を持っている人は非常に融通が効きます。
世の中が急速に変化した時にも、すぐにしなやかに変化に対応できるのです。

脆弱は変化や外圧に脆いあり様を指します。頑強は変化や外圧が来てもビクともしないあり様を言います。だから、脆弱の対義語は頑強と思われますが、筋肉のように叩かれると「強くなる」性質を持つものがあります。それを、不確実性の研究者であるナシム・ニコラス・タレブは「反脆弱性」と定義しました。

僕の友人に「反脆弱性」で生きている男がいます。
IT企業の社員なのですが、コロナ以前から1人だけリモートワークを行っていました。一応、会社には机はあるのですが、誰もそこにいる姿を見たことがなく、「実はAIなんじゃないか?」という噂まで出ているとかいないとか 笑
彼は、経営者からアスリート、大学教授まで、幅広い人脈を持ち、僕も何人もの「面白い人」を紹介してもらいました。
副業も盛んに行っており、本業とは無関係の分野で複数の収入を得ています。

勤めている会社に「もしも」のことがあった場合、頑強な仕組みに組み込まれた人は、地滑り的に崩壊するのに対し、彼はなんら問題なく次のキャリアに移行できるでしょう。

さて、このあり方を企業に当てはめると、「頑強ではない中小企業は反脆弱を目指すべし」ということになります。
「これが壊れたら一巻の終わり」というものにしがみつかないということです。
1つの商品、1つの取引先、1つの技術活用、1人のカリスマリーダーにしがみつかない、多様でフットワークの軽い体質に変容することだと考えるのです。

例えは悪いかもしれませんが、突然現れて、次から次へと変異し、人類の英知を結集しても撲滅できず、結局は人間と共存した例のウィルスのようなあり方です。
その性質を、他者の役に立つように活かすということではないでしょうか。
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