評価制度をやめたら上手くいった企業の話
先日、評価制度が上手く機能しないワケというテーマで記事を書きました。
「”努力は報われる思考”が招く危険性。公正の落とし穴を考える」
とても反響があったので、今日は続記事を書きたいと思います。
評価制度が上手くいかない理由は他にもあります。
先日の記事に書いたこと以外にも、人は自分を過大評価する性質があるという要因があります。
特に、能力の低い人ほどその傾向が強いことが心理学の研究で明らかになっています。
また、評価制度は信賞必罰の性質があり、低い評価を受けた=「罰を受け過去が精算された」と認識されることも弊害です。
「次には頑張ろう」という気持ちになりそうなものですが、そうではなくチャラにしてしまうのです。
また、成果主義で、限られた原資を成果や能力に応じ、差をつけて分配すれば、当然、競争原理が働くことになります。
競争が過ぎると、助け合いや学び合いが起きず、結果的に組織が弱体化します。
評価制度が上手くいかない原因をまとめると…
・評価制度や評価者が間違っていると考えがち。
・人は自分を過大評価する。
・過去を精算してチャラにしてしまう。
・競争原理により組織が弱体化する。
そんな性質がある以上、評価制度がつまづくのは自然なことと言えるでしょう。
では、どうすれば良いのでしょうか。
今日は意外な発想で解決している事例を紹介しますね。
その発想とは「評価をしない」というもの。
正確に言えば、評価を賞与や昇給などの処遇に反映させないということです。そもそも評価制度は、人を育てるためにあるはずですが、どういうわけか多くの企業で処遇を決めるための道具になってしまっています。
これまで、評価なしで上手くいっている企業を3社見てきましたが本当に上手くいくんですよね。
それらの企業では、賞与原資を人数割か、基本給に比例して支給しています。
「そんなことをしたら、サボる人が出る。成果を出した社員が納得しない」と言う人がいます。
普通の企業ではそうなる可能性があると思います。
しかし、風土が整っている企業では、この方法が最も上手くいくのです。
風土とは「共創・協働」の風土です。
「競い奪い合うのではなく、みんなで力を合わせパイを大きくしよう」という風土です。
共創原理に基づくと、人間が持つ「互恵性」がいかんなく発揮されます。
ある企業では、入ったばかりの新人さんも人数割に含まれていました。当然、実力が伴っていないので「こんなにもらって申し訳ない」という気持になります。
この良い意味での罪悪感が「金額に見合うだけの働きができるように成長しよう」という自発的な意欲を生み、自ら成長課題を設定します。
これは評価制度が目指してきた理想の姿ではないでしょうか。
共創原理があると、先輩や上司も成長の支援をします。
こうして組織が繁栄し、結果的に、全員が「得」をするのです。
また「徳」も得ます。
人間的に成長し、仕事を通じ幸福を実感できれば無上と言えるのではないでしょうか。
もちろん、今日、紹介した方法が「正解」というわけではありません。
御社の風土に合う形にアレンジする方法があればチャレンジしてみてください。
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