「それ、私の仕事ですか?」と言われたら?

部下に仕事をお願いした時に「それ、私の仕事ですか?」と言われたことはないでしょうか。
この言葉ほどリーダーを困惑させるものはないですよね。
業務の中には「誰の仕事か?」という境界線が曖昧な領域があります。例えば「接客は事務員」と定めても、事務員が手一杯の時は、工員だろうと社長だろうと対応しなければなりません。

自分の領域以外はやらないとなると、組織は機能不全に陥ります。

ちなみに、日本人は比較的、境界線が曖昧だと言います。これがアメリカだと、例えば、スーパーマーケットで商品が棚から落ちて床に転がっていても、担当外のスタッフは一切、お構いなしという態度をとるそうです。

しかし、日本人といえども、気を抜くとあっという間に境界線が引かれてしまうので警戒が必要です。

境界線がはっきりすると、自分の領域を狭くしてしまいます。
どういうことでしょうか。

境界線がはっきりすると、責任領域が明確になるという利点はあるのですが、同時に境域外のことはしたがらなくなります。
また、責任を負いたくないという思いから、勝手に自分の領域を小さくしようとします。
すると、誰の領域でもない「空白」ができてしまうのです。

境界線は仲間内に限った話ではありません。売り手と買い手との間にできると、代金と決められたサービスを交換するだけの関係になります。そうなってしまったら「おもてなし」どころではないですね。

境界線の理想的なあり方は、縁側のような部分…「どちらでもある」という部分があり、それを互いが越境し合う関係が理想です。

では、どうすれば「どちらでもある」縁側をつくることができるのでしょうか。
そのヒントを、先日、ある経営者が教えてくれました。
その方法は、とりも直さず「境界線を超える」というものです。互いが越境をしたことでできる「重なり」をつくるということ。

しかし越境は怖いもの。
その対策として、ヒントになるのが「跳べなくなるノミ」です。
瓶の中にノミを大量に入れると、ノミたちは瓶から出ようとジャンプを繰り返します。しかし、瓶にフタをすると、ノミたちは次第にフタのところまでしかジャンプをしなくなります。
そして最終的には、フタを外しても、ノミたちはフタの高さまでしかジャンプをしなくなるそうです。
まさに境界線の内側でしか仕事をしなくなるということです。

この状態を打破するには、跳ねて瓶の外に出るノミが1匹で良いので現れることです。
それを見た周りのノミたちが同じような行動をとるようになり常識が変わるということ。

最初の一匹のノミが跳ねた瞬間、瓶の外は「未知」から「選択肢」に変わるのです。

これを職場で応用するとしたら、どんな方法が考えられるでしょうか。
跳ねそうな社員を1人思い浮かべて、シミュレーションすると面白いアイデアが生まれるかもしれません。
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