仲間同士の実践を教材にし自律的に成長するための ”5つの問い”

人には、自分の手柄を他人に話したいという性質があります。この性質を人材育成に活かさない手はないと思っています。
リーダーが、部下の手柄を嬉しそうに聴くだだけで育成効果はありますが、次の5つの問いを投げかけると、効果は飛躍的に高まります。

1、何をやったのか?
2、それは何を狙った実践なのか?
3、やった結果どうだったか?
4、その体験から、上手くいくポイントは何か?
5、次の実践アイデアは?

自慢をしているわけなので、1と3は話すでしょうから、残り3つを加えるのです。

僕のセミナーの参加者の実例で説明しますね。
その方は小売業の社員さんで、「店頭POPを書いたが反応がなかった」というものです。「全然自慢話じゃないじゃん」と思うかもしれませんが、「実践をしたこと」が自慢なのです。
リーダーの中には「それじゃ物足りない」と思う方もいるかもしれませんが、そもそも社員が自発的な実践をしてくれない会社もあるわけで、そういう会社からしたら羨ましい話だと思います。

ちなみに、結果を褒めると人は育ちません。理由は、確実に結果が出ることしか挑戦しなくなるからです。自分より実力が下の人しか見なくなりますし、結果を捏造することすらあります。
褒めるならプロセス、挑戦を褒めることが大切です。

「何を狙った実践なのか?」の問いに、「商品を売るため」と答えました。そのPOPはとても良くできていて、見た人を惹きつける力がありました。それなのに売れなかったのです。
ここで上司が「どうしてだろう?じゃあ、今一度、このPOPを見た人が感じたことをイメージしてみようか?」と問いを深めました。
部下はイメージができず、答えられなかったため、上司は「仲間に相談してみな」とアドバイスしました。

その日のうちに、部下は報告に来ました。
「POPを見て欲しくなったが、5万円もする商品なので、試しに使ってみないと買えない」という推測を、仲間の知恵を借り導き出したのです。

上司が「次の実践は?」と問うたところ、間髪入れず「POPには『店員に”試しに使ってみたい”とお伝え下さい』と書きます」と答えました。

その後の話を聞いていませんので、結果がどうなったかは知りませんが、素晴らしいコミュニケーションだと思います。

このケースのポイントは、最初は上司‐部下の1対1で行われていた対話を、仲間同士の学び合いに広げたことです。

・職場が学びの宝庫となる。
・実践意欲が刺激される
・仲間に対する感謝、尊敬の気持ちが生まれる。

リーダーは「自慢話をしたくなる相手」になること。
5つの問いを投げかけること。
1対1から集団の学び合いへ移行すること。

この繰り返しで、きっと自律的に学習し続ける組織に進化するでしょう。


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