「ありきたり」では埋もれ「突飛」では嫌悪される。普遍性と独創性が重なるベストポジションで勝負する。

❚ ヒットを生む「普遍性と独創性」を兼備した領域

僕は大学受験を小論文のみで突破したのですが、僕に小論文の書き方を教えてくれたのは、予備校の国語の先生です。
先生は、常に「採点をする人の身になれ。どれも似たような文章ばかりで嫌になるんだよ」と言いました。
「良いことを書くのは当たり前で、そこに光を放つ独創性がないとだめ」と厳しく言いました。

「普遍性と独創性を併せ持つ」…これは商いを成功させる上で最も重要な要件だと僕は思っています。
普遍性とは、役立つもの、便利なもの、美味しいもの、効果の高いもの、精神的な豊かさをもたらすものといった一般的な価値です。
ところが、今の時代、粗悪なものなどほとんどなく、平均レベルを超えた商品・サービスばかり。さらに、性能、効能はどの企業も似たりよったりです。

そこで、独創性が求められます。
普遍性と独創性を併せ持つと、生活者から圧倒的に支持されるようになります。

こうしたプロダクトは2024年のヒット商品の中からも探すことができます。
例えば、火も電源も使わない「置くだけ」という独創性を加えた設置型蚊取り「シンカトリ」は発売7カ月で270万個を売りました。

「キリンビール晴れ風」は「売上の一部を、花火大会など日本の風物詩を守るための寄付に回す」という独自のミッションを打ち立て、年間550万ケース以上を販売しました。

普遍性と独創性を併せ持つと、市場に一気に浸透し、その後、定番になる可能性があります。
これは商品・サービスに限定したものではなく、世界観、顧客との関係性などで独創性を発揮することも可能です。

普遍性と独創性を兼備したものは、生活者の目の前に「こういうものがあるよ」と出しただけで売れます。
プレゼンがシンプルになるのです。

注意しなければならないのは、普遍性と独創性の兼備があるかどうかの判断は、100%顧客に委ねられるということです。
いくら企業が主張しても、決めるのは顧客ということを忘れてはいけません。
 

❚ 独創性を生むヒントは「過去の自分」にある。

さて、本題はここからです。
「普遍性と独創性の兼備が重要だということは分かった。しかし、それを持っていないから苦労するんだ」というのがリアルな課題だと思います。

これを解決する方法として、僕が師匠から教わり、今でも実践している方法があるので紹介しますね。
それは、これまでの人生で多くの時間を費やしてきた事を、今やっている仕事に組み込みむという方法です。
例えば、僕の場合、大学生の時にDJを始め、今では3000枚ほどのアナログレコードを持っています。

あまりに多いので、家を新築した時に専用の部屋を作った。

僕の研修(リアル会場開催)に出た方ならお分かりだと思いますが、グループワークを行う際に流すBGMは非常にバリエーション豊かで、話し合う内容に合わせベストな選曲をします。
時にJAZZ。時にラテン。時にドリフの曲(笑)

以前に、業界団体で研修をやった時には、ただ学ぶだけでなく、アクションアイデアを出し実践し、その成果を称える表彰式を行いました。
表彰式の音響演出は僕がすべて手掛けました。

僕はDJとしては箸にも棒にもかからないのですが、研修事業とDJの「交差点」では真似ができる人はほとんどいません。

交差点は、自分1人で作るのではなく、誰かと作ることも可能です。
例えば、ウォルト・ディズニーは、非常に独創的な世界観をクリエイトするのが得意な一方、収益事業に仕立て上げるという普遍性には弱かったと言われています。
そこで、兄のロイ・オリバー・ディズニーと組んで事業を興しました。

ビートルズでは、ジョン・レノンが持つ、カウンタカルチャーの独創性と、ポール・マッカートニーの普遍的な楽曲づくりの「交差点」で成功しました。

企業でも、今、営んでいる商いには確かな普遍性があるはずです。そこに独創性を盛り込むとしたら、これまで夢中になってきたことにヒントがあるかもしれません。

「交差点」はどこにあるでしょうか?
今一度棚卸しをしてみると、ビジネスを一段引き上げるヒントが見つかるかもしれません。

どうしても見つからない場合は、今あるものを上手にプレゼンして売っていくしかありませんが、その方法は機会を改めて紹介したいと思います。

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