理想の顧客、仲間に囲まれて仕事をする方法
僕は10年前にMacユーザーになりましたが、所有するまでずっと、Macを持ってスターバックスに行くことに憧れていました。服装は、スタイリッシュなカジュアルで、ラテを飲みながら「カチカチパーン」です(笑)
いかにも田舎っぺという感じですが、「そういう人」に憧れた時期があったのです。
この話を聞いて「ああ、”そういう人”っているよね」と思った方も多いと思います。
何を伝えたいかというと、消費には「所属の意思表明」という性質があるということです。
世の中には、様々な世界観に所属している「そういう人」がいることに気付きます。
「ドン・キホーテにいそうな人」「MINIに乗っていそうな人」など多岐にわたりますね。
企業だけではなく地域も、所属を表現します。「青山で買い物をしていそうな人」「歌舞伎町で飲んだくれていそうな人」「新宿二丁目でハッスルしていそうな人」などです。
消費=所属の表明という意識が、特に強くなったのは、ここ30年ほどのことだと思います。
生活者の消費感性は、次の3段階で進化しました。
1、生活必需財の充足(有史以前〜1980年代前半)
2、他者から羨ましがられるモノの所有(1980年代中盤〜バブル崩壊直後)
3、所属の消費(21世紀以降)
1は「生きるため」に行い、3は「人生を彩るため」に積極的な心持ちで行います。
また、1は競争が激化する傾向にあり、勝者総取りの様相を呈すのに対し、3は多様な個性で彩られる傾向があります。
時期に関しては僕の感覚ですが、このような進化を遂げたことは間違いないと思います。
経済規模で言えば相変わらず1の市場が主流ですが、大きなトレンドとして注目すべきは3の増加です。
さて、話はここからが本題です。
この傾向は、消費分野に限ったものではなく、働き方にも当てはまります。先程の進化の3段階を、それぞれ働き方に当てはめると次のようになります。
1’ 食うために働く。
2’ 他者に自慢できるブランド企業で働く。
3’ 自分の個性や志向に合った企業で働く。
大きなトレンドとしては、消費感性と同じように3’が増える傾向にあります。「食うためにだけに働くなんて嫌だ」「ブランド企業を自慢するのはダサい」という感性を持つ人が増えているのです。
当然ながら、3’の領域にいる人の方が、高いヤル気と自発性を持ち合わせているので、結果的に、より食え、より憧れられるようになります。
企業が、この領域の人に選ばれるためにはどうすればよいのでしょうか。
消費感性に習えば「我が社で働く人はそういう人」の『そういう人』を明確にし、発信することだと考えます。
僕が経営してきた新聞店では、求人広告のトップにそれを表明してきました。

当社で働く人は「自分の個性を活かして輝きたい人」ということです。
あなたの会社における「そういう人」を考えてみてください。
「仕事もプライベートも充実させたい欲張りな人」
「人間的な成長を心地よいと思う修行者」
「仲間と協働することが大好きな人」
「結果にこだわるプロフェッショナル」
「世の中に無かったものを開発して世間を驚かせたい人」
きっと、そこには、あなたの思いや哲学が反映されているはずです。
あるいは、逆に、今いる顧客や社員は、自社の哲学の写し鏡になっていると思います。
消費の世界で1の領域のレッドオーシャン化が進むように、労働市場においても、1’ の領域は労働者を奪い合うことになることが予想されます。
対し、3’ は 「マッチした人が集う」ブルーオーシャンです。
労働条件や待遇はコピーできますが、美学・哲学は、組織が長年にわたり紡いできたストーリーからにじみ出るものなのでコピーはできません。
自社独自の、見えざる資産価値として蓄積するのです。
顧客でも社員でも、「そういう人」の人物像を丁寧に言語化し、発信し続けることで、同じ感性を持つ人が自然と集まり、文化が育ち、組織が強くなっていくはずです。
今日の記事が、その原点を考える一助となれば幸いです。
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