経営者が頭を使わず、働かなくなると企業はブラック化する

先日、友人が、長野県伊那市にある「伊那食品工業株式会社」に視察に行きました。
社是が「いい会社をつくりましょう」で知られる素晴らしい企業です。
視察の後に、友人と近所のカフェで交流し、色んな話をしました。

その中で、「同社では、社員さんが嫌がることはしない」という話が出ました。
ノルマや、効果のない上司への報告書など、社員さんが嫌がることを徹底して排除しているそうです。

社会心理学の世界に、「返報性」という概念があります。
簡単に言うと、「相手に対し、良いことをすると、相手も良いことで返す」「嫌なことをすると、嫌なことで返す」というものです。

社員がよろしくない言動をする場合、リーダーが社員さんによろしくない言動をしているはずです。

リーダーのよろしくない言動は、大抵、「手抜き」から始まると思います。
リーダーが手抜きをすると、そのしわ寄せが部下に行くからです。

少し、恥ずかしいですが、僕も随分と手抜きをして、社員に嫌な思いをさせてきました。
僕は、社員数50名ほどの新聞販売店を経営してきました。
社長に就任して、最初に行った手抜きは「成功報酬」です。
新聞屋さんの生命線は部数ですので、営業活動に最もエネルギーを割きます。

僕は、社長に就任した直後に、「1件契約したら1万円を支給する」という成功報酬を導入しました。
専門家のアドバイスを受け、基本給を20万円くらいに設定し、成果を出さなくてもギリギリ生活ができる、頑張れば稼げるという水準にしたのです。

本来であれば、社員と対話を重ね、成果を出せるように一緒に考えるのが社長の仕事です。
僕は、手抜きをしたのです。「報酬制度を入れれば、社員は勝手に踊るだろう」と。
そのせいで、社員は嫌な仕事をやらされたのです。

営業報告書もそうでした。
そもそも、報告書は部下の成長のためにあるものですが、当時の僕は、「社員のサボりを防止する」という動機で書かせていたのです。
社員は、書きたくもない報告書を書くという、嫌なことをやらされていたのです。

これでは人が育つはずはありませんし、いい企業風土ができるわけがありません。

諸説ありますが、「働く」の語源は、「はたを楽にする」という説があります。
リーダーの仕事は、社員さんが働きやすい環境を整えることです。
リーダーが働かないと、しわ寄せは社員さんに行き、嫌な仕事が増えるのです。

経営者が頭を使わず働かなくなることが、企業のブラック化の原因だと思います。

友人の話を聞いて、恥ずかしい黒歴史を思い出し、戒めのために今日の記事を書いたのです。

というわけで、今日も素敵な1日をお過ごしください!

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