ストレスは、捉え方次第で組織繁栄の活力になる
経営者なら誰でも、理想的な職場環境を整えたいと思うものですが、そもそも「理想的」とはどのような状態なのでしょうか。
「個性が尊重される」「ノビノビと活動ができる」「褒められる」など、優しい環境をイメージする人が多いのですが、実は「適度なストレスがある」ということも欠かせません。
一般的には、ストレスは「害悪」と忌避されていますが、その常識は、半分は間違いであることが分かっています。
ベストセラー「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」の著者、ケリー・マクゴニガル教授は、ストレスは、それを害悪と思っている人にとっては害になることを明らかにしました。
ストレスは、行動意欲や、学習意欲、他者との絆をつくるモチベーションを生み出し、社会的成功とともに、幸福や長期的な健康にも貢献するというポジティブな側面があるのです。
むしろ、100%ストレスフリーの方が危険であることを示す実験があります。
「ユニバース25」と名付けられた、マウスを使った実験では、十分な食料と水、安全な巣、病気のない空間、外敵の心配がないユートピアを作り、そこでのマウスたちの行動を観察しました。
すると、300日を超えたあたりから、育児放棄や暴力行動、引きこもりが発生し、560日後にはマウスの社会は機能不全に陥りました。
ユニバース25は、同じことが人間社会に当てはまると警鐘を鳴らしています。
ストレスは解釈次第であり、上手に扱うと組織の繁栄とメンバーの幸福に貢献するわけですが、この話を聞き、「部下にストレスを与えよう」と考えるのは間違いです。
そんなことをすれば、「他者との絆を生み出す」という効果が裏目に出て、「上司 vs 部下集団」という対立構造を引き起こしてしまいます。
ストレスは「環境から生まれる」という状態をつくることが有効です。
具体的には、情報開示です。
決算書や顧客満足度などは、自分たちの行動の結果を示す、いわば通知表です。
学生が、親や先生からアレコレ言われても反省しないのに、模試の順位といった客観的な情報を見ると、事態を受け入れるのと同じで、企業でも情報開示が健全なストレスを生み出しまします。
何の操作もない、ありのままを示すだけなので非常にやりやすいのではないでしょうか。
僕は、自社で指示ゼロ経営を導入した際に、最初に行ったのが決算書の開示でした。数年間の決算書から、社員は衰退産業のリアルを感じ、僕と同じ危機感を抱いてくれるようになりました。
しかし、当初は「どうするんですか?社長」と、僕に矛先を向け混乱しましたが、僕は「みんなで力を合わせないと未来はない」と、矛先が協働に向かうように促しました。
結果、ストレスのポジティブな側面…行動意欲や、学習意欲、他者との絆をつくるモチベーションが引き出されたのです。
ユニバース25の実験では、誰かにお膳立てされた快適は、所属員と組織の崩壊を引き起こしました。
逆に、リーダーのコントロールでつくられたストレスは、リーダー vs メンバーの対立を生みます。
「ありのまま」という無為が理想的な情報開示だと思います。
ストレスをどう解釈し活かすか?…一度考えてみてはいかがでしょうか。
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