給料だけじゃ動かない。「働く意義」が金銭的報酬を超える時
昨日、NHKのクローズアップ現代で「出世を望まない社員が77%にのぼる」という特集が組まれていました。対策として「AI上司」の開発を検討している企業もあるとか。
一方で、賃金に対し不満を持つ人は増えています。
要するに「賃金は上げてほしいが出世は嫌だ」という矛盾した願望を持っているということですが、この背景には何があるのでしょうか。
現代人は、経済を充実させれば幸福になれるわけではないことを知っています。しかし、経済以外の何を充実させれば豊かだと思えるか?…新しいビジョンは描けていません。
方向性が定まらないので、矛盾した願望を抱えたまま悶々としているのだと思います。
この現象は、近年に限ったことではないようです。
19世紀終わりから20世紀の初頭にかけて、第二次産業革命の恩恵を受け、人々は物質的な富を手にしました。
しかし、街には「何のために生きているか分からない」というノイローゼ患者が急増し、その処方箋として「幸福論」という書籍が登場しました。
1960年代には、物質的な富を追求する資本主義へのアンチテーゼとしてヒッピームーブメントが興りましたね。彼らは髪を伸ばしマリファナを吸い、東洋的な瞑想を好みました。
人は、物質的な充足が一段落すると「生きる意味」などを考え悩むようです。
人間は、いつの時代も「希少なもの」を追い求めます。
モノが希少な時代には、シャカリキに働きモノを追い求めました。
経済学者のミルトン・フリードマンが「企業の唯一の目的は利益を創ることだ」と言ったのは1970年のことです。その掛け声に押され企業戦士たちは頑張った。そしてモノに満たされたら、今度は「意義」が希少になり、それを追い求めるようになったということです。
現代人は第三次産業革命(インターネットの登場)により生活やビジネスの利便性が飛躍的に向上したわけですが、その逆相関として発生する「生きる意味の喪失」はシナリオ通りの展開といえるのではないでしょうか。
しかし、生きる意味のビジョンが描けていないので、とりあえず従来の富…あって損はないお金が欲しいと言うことです。
このことに気づいた先進的な経営者が「パーパス経営」に取り組み始めました。
しかし、僕が聞く限り、パーパス経営の導入動機が「より儲けるため」という企業も多く、本末が転倒しているという感は否めません。
そんな時代だからこそ、真のパーパスを打ち立てた組織の希少価値が高まり、優秀な人材が集まるのだと思います。
物質的な報酬だけで人は動かない時代だからこそ、経営者に求められるのは、儲け方だけではなく「何のために存在するのか」を語れる力です。
その問いへの答えが、人も市場も動かす原動力になるのだと思います。
お金は、持つ者と持たざる者との間に大きな溝があるのに対し、意義の創出は万人にチャンスがあります。
今後、産業構造の大転換を目の当たりにするかもしれませんね。
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