「不親切」という最高の親切…部下を育てる逆説の育成法
今日の記事では「親切は本当に親切なのか?」ということを考えたいと思います。
困っている部下がいたら懇切丁寧に指導する上司を、多くの人は良い上司と評価します。組織が課題を抱えたら、真っ先に解決策を考える率先垂範型のリーダーは、良いリーダーと言われます。
本当にそうなのでしょうか。
僕は、いまこそ「不親切という名の親切」が必要だと考えています。
今、ちょうど「指示ゼロ経営マスタープログラム12期」をやっています。全5回コースをオンラインで学びます。
セミナーでは毎回、終了後にフリートークの時間を設け、受講者に自由に対話をしていただきます。
テーマも進め方も自由です。
僕の「フリートークの時間です。どうぞ始めてください」の合図で始まるのですが、いきなり振られると困りますよね。
12期は、最初からすごく盛り上がったのですが、通常はなかなか対話が始まりません。
もし、あなたがセミナーの主催者だったら、どんな対応をするでしょうか。いわゆる「良い講師」は受講者が対話しやすいように色んな手配をすると思います。
こんな時に役立つのがChat GPTということで相談してみました。
盛り上がらない原因として…
・「何を話していいか分からない」(話題が漠然)
・「誰かが先に話すのを待つ」(沈黙の心理)
・「失敗したくない」「目立ちたくない」(オンライン特有の距離感)
こうした原因を挙げたうえで、次のようなプログラムを提案してくれました。
①緊張を解くためのアイスブレイクを行う。
②「今日の学びで一番響いたこと」など話し合いの課題を与える。
③大人数だと話しづらいので、小グループで話し合う。
④最後に全体で共有する。
Chat GPTらしい鮮やかな解答で、これを実践すればフリートークは円滑に進みます。
しかし、これでは人は育ちません。
人を育てるためには「フリートークで話しづらくないですか?」という現状だけを確認し、みんなが同じように思うのであれば自分たちで対策を考えることが重要です。
手順は以下の通りシンプルです。
1、現状を確認する。
2、理想を描く。
3、現状と理想の間にある「課題」を浮き彫りにし解決策を考える。
特に、3の「課題設定」を自分たちで行うことです。
私たちが受けてきた教育は「誰かが設定した課題を解く」というスタイルでした。「8÷2」という課題を与え「4」と答えさせる訓練を積み重ねてきた。
その弊害は、自分で課題を設定することができなくなってしまうことです。上司が課題を設定してくれれば活動できるが、そうでないとフリーズしてしまうのです。
話をビジネス現場に移します。
例えば、あなたの職場で「リーダーが動かないと、部下の誰も動かない」という問題を抱えていたとします。
これに対し、リーダーがお膳立てをしないとすれば、どんなやり方が有効でしょうか。
もうお分かりですね。
私たちは、つい親切心でお膳立てをしてしまいますが、それは、長期的には相手の主体性を奪う不親切だと考えています。
不便さや戸惑いの中で「自分たちで考える力」を養う環境をつくること。そのためには「あえて手や口を出さない」という態度が求められるのではないでしょうか。
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