自公惨敗を反面教師に学ぶ「ビジネス勝利学」

参院選の惨敗を受け、石破 茂首相に退陣を求める声が上がっていますね。
確かに、言動に一貫性がなかったりしたことは事実ですが、敗因は石破さん1人にあったのか?と僕は思っています。
党としての、これまでの積み重ねの通信簿を受け取ったということではないでしょうか。
退陣を求める政治家の中には「あんたも惨敗の一因だろ」と突っ込みたくなる人もいますよね。

つくづく、リーダーというのは、悪い時にはすべてを自分のせいにされる大変な役目だと思うのです。

惨敗の原因は、これまでの行為の積み重ねであり、一朝一夕にできたものではありません。
少しずつ信頼を失い、ある日「相転移」が起きたということではないでしょうか。

このことはビジネスに関わる私たちに重要な教訓を与えてくれます。

良いことも悪いことも相転移を超えると状況が一変します。相違点の到達は、良いことは時間がかかり、悪いことは早く訪れます。信頼などの構築には時間がかかり、失うのはあっという間ですよね。

参院選を教訓にするならば、信頼の獲得という、時間がかかる大事を短期間でやらざるを得ないとなると、バラマキなどの拙速な対策に走ることになり、それによりかえって信頼を失うということです。

時間がかかる大事とは、いわば「秘伝のタレ」ですが、企業では、秘伝のタレでしか競争力は醸成されません。
すぐに身につくものは誰でも真似ができるので競争力にはならないからです。

秘伝のタレは、試行錯誤を繰り返し、やり続けることでしか作ることはできません。なので、それ自体も重要ですが、最も重要な要件は「タレを作る人」ということになります。

人の差が勝敗を分けた事例として、インターネット黎明期の、ベンチャー企業とレガシー企業(長い歴史を持ち、規模の大きい企業)の比較が分かりやすいと思います。
今、検索エンジンや動画配信サービスのプラットフォームを提供する企業のほとんどは、35年前には存在していませんでした。急に出てきてメジャーに躍り出たわけですが、当時、レガシー企業は何をやっていたのでしょうか。

実は、レガシー企業も、同じ時期にインターネット関連事業に進出していました。
IBMは1996年に仮想商店街「World Avenue」を立ち上げていますし、日本では1995年にNTTが「NTT DIRECTORY」という検索サービスをリリースしています。
今や、誰の記憶にも残っていませんが、なぜ、資金も人材も豊富な大企業が負けてしまったのでしょうか。
それは、ベンチャー企業が「やりたいからやっている」という動機なのに対し、レガシー企業は「組織の命令だから」という動機だったからではないでしょうか。

恥ずかしい話ですが、僕は新聞店の社長時代に、新聞市場の衰退を受け、新規事業として通販事業を立ち上げたことがあります。
結果は惨憺たるもので、1年ほどで資金が尽きて撤退しました。
撤退の理由を、表向きには「資金の枯渇」ということにしていましたが、本当の理由は「諦めた」ということです。
諦めた理由は「そこまで情熱を傾けられる仕事ではなかった」ということです。当時は楽天などの登場でインターネット通販が盛り上がりはじめた時期で「なんとなく儲かりそう」という安易な動機で始めたのです。

秘伝のタレは試行錯誤の繰り返しでしか作ることはできません。相転移が起きるその時までやり続けることが成功の鍵を握ると思います。

そのためには…

・意義を感じる事業目的
・実現を強く望むビジョン
・自分で決められる権限の仕組み
・自分の個性や才能が活きる人事
・良好な人間関係とチームワーク

などの環境づくりが欠かせません。

メンテナンスをサボり、秘伝のタレが不味くなった状態でリーダーをやり、惨敗の責任を取らされる石破さんの姿を見て、そんなことを思ったのです。

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