「たった1人」に届けばビジネスは動き出す…松任谷由実に学ぶ顧客創造の循環モデル

ビジネスの成功率を高める最も有効な方法は「たった1人のお客様を深く知ること」だと考えます。
「たった1人」というところがポイントです。「1人では商売にならない」と思うかもしれませんが、そうではありません。
たった1人にフォーカスするから「誰にとってどんなメリットがあるプロダクトか?」が明確になり、同じような属性の人の心に刺さるのです。

このことは「ペルソナの設定」という概念で、多くのビジネスパーソンにとって馴染が深いと思います。

ちなみに、「学習する組織」を提唱するオットー・シャーマーは「U理論」の中で、関係性の深さを4段階で表し、3段階目に「相手の感情を、相手が口にする言葉で表現できるほど気持ちを理解している」と説いています。
ペルソナに対する理解は、ここまで深める必要があるということです。

これをとても上手にやっているのが、松任谷由実さん(ユーミン)だと思います。
彼女は、1985年から17年間に渡り「サウンドアドベンチャー」というラジオ番組を持っていました。
(2012年からは「松任谷由実のYuming Chord」という番組に引き継がれました)

番組の内容も素晴らしいのですが、ビジネス的にとても巧みに構築されているのです。

番組では、リスナーから恋愛に関する相談が寄せられます。当時はまだインターネットが普及する前だったので、相談はハガキで寄せられるのですが、これがまた情緒深い。

ユーミンは、投稿者に対しアドバイスを送り、当人の心境にあった自分の曲を贈ります。その曲を選んだ理由がしっかりと添えられていて「この相談者に聴いて欲しい」という想いが伝わってくるのです。
この一連が17年間にわたり続いてきたわけですが、そこには次の好循環が回っています。

1、相談を受けることでリスナーのことを深く知る。
2、リスナーの心に刺さる曲をつくることができる。
3、ユーミン自身がその曲の「推し」となりファンが増える。
4、投稿が増える。
→再び1へ。

素晴らしい循環ですね。
顧客とプロダクトを共同開発しているという構図ができているのです。

この事例から有効に学ぶために概念化をしたいと思います。

1、顧客の悩みや欲求を「生の声」で知る仕組み
2、その人に喜ばれたいという想いで行うプロダクト開発
3、「この人に届け」という想いで行う発信
4、顧客との関係性構築と、さらなる声の収集

上記の1→4を自社で行うアイデアはないでしょうか。

生の声を拾い、開発・発信・関係構築のサイクルを回す。
そのためには、まずは「深い1対1」をどう設計するかが勝負所だと考えます。
ビジネスは、目の前のたった1人の喜び、その“ひとしずく”が波紋のように広がっていく営みだということをユーミンから学んだのでした。

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