「不良社員こそ宝」…組織変革の逆説的リーダー論

いい会社にはマジメ社員が必要ですが、突き抜けるためには「不良」が必要です。
不良とは、組織に染まらず、建設的に組織を批判できる人です。

拙著「賃金が上がる!指示ゼロ経営」(通称「青本」)で紹介した、飯塚洋平氏は不良社員のお手本です。

「不良社員」で検索すると上位に飯塚氏が。その下(右)には僕が企画した「侵入社員養成講座」(誤字ではありません)が。さらに、僕のメンターである天外伺朗さんの書籍(左)も出てきます。笑

彼は、社員数700名ほどのIT企業で働いているのですが、コロナ以前から1人だけリモートワークをしてきました。その傍ら「サイボウズ社が提供する『kintone』の普及活動」「企業の経営支援の顧問」「大学講師」「夢新聞講師」「チームビルディングやビジョンデザインの研修講師」など、副業を含む様々な社外活動を行っています。
交友関係も、学生、経営者、アスリート、大学教授、霞が関の官僚と多彩です。

僕は、彼を紹介する時に、どう紹介してよいか迷うため、最近では「彼の職業は飯塚洋平です。別名、不良社員です」と言うようにしています。笑

飯塚氏は、その多様な視点から、良い意味で自社を批判的な目で観ることができるのです。

組織は求心力と結束を求めますので「不良」がいないと、あるいは不良を排除する文化があると、あっという間に同質化してしまいます。

同質化は組織の「終わりの始まり」です。

組織やコミュニティは、それぞれ独自の文化やノウハウを持っています。
そこには、必ず長所と短所の両面があるのですが、1つのコミュニティにしか属していない人は、自分のコミュニティの文化を唯一の正義と捉える傾向があります。
特に、コミュニティの創設者が立派だと、偏った信奉心を抱くので危険です。どんなに素晴らしい人にも欠点はあるし、時代が変わればノウハウとのミスマッチも起きるのですが、それを認めたくない。というか観えないのです。

松下幸之助氏が偉大であることは論を俟ちませんが、氏の思想の中でも、水道の水のように低価格で良質なものを大量供給する「水道哲学」は成熟社会には当てはまりません。パナソニックの低迷の真因は、この思想を批判できずにいることかもしれません。

同質化の弊害が生命を奪ったケースが「コロンビア号空中分解事故」です。
NASAはアポロ計画の時代には色んな経験を持った人が集いました。ところがスペースシャトルの時代には同じようなキャリアを通ってきたエリートの集団になりました。

コロンビア号の事故調査委員会によると、事故の直接的な原因は、燃料タンクからはがれ落ちた断熱材がシャトルに衝突したことでしたが、「その背景には組織風土の硬直化がある」と結論付けています。
一部の技術者から断熱材衝突の危険性についての警告が出されていたのにも関わらず、組織的にそれを封殺したと言います。委員会は、組織の問題点として「意思疎通を妨げたり、意見の相違を抑圧したりといった、組織的な障壁がある」と指摘しています。

僕に、染まらないことの大切さを教えてくれた人は、メンターである小阪裕司先生です。
先生は、僕に次のような薫陶を与えてくれました。

・私以外の、様々なコミュニティで学びなさい。
・私の言う事を絶対視せずに、常にクリティカル(批判的)な視点を持ちなさい。

当時は「変わったことを言う人だな」と思ったのですが、後にその重さに気づくのです。

自分の組織、所属するコミュニティを大好きになることは大切なことですが、信者になるのは危険です。
自らの中に不良要素を持つこと。不良を歓迎すること。
いずれも度量が要ることですが、それが組織繁栄の「始まりの始まり」だと考えるのです。
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