組織づくりの第一歩は「壊す」…創造的破壊のマネジメント

組織開発やチームビルディングという言葉から、私たちは組織を「造る」考えますが、実は、それよりも先に、まずは「壊す」ことが大切だと考えています。
そうしないと「建て増し」になり、時間とともに経営が肥大化してしまうからです。

スクラップ・アンド・ビルドという言葉が示すように「壊すが先」「造るが後」なのです。

話は大きくなりますが、そもそも万物は「エントロピー増大の法則」といって、時間の経過とともに朽ち果てていくという法則に支配されています。
今、僕がブログを書くために使っているパソコンは、いつか必ず壊れますし、文章を考えながら飲んでいるコーヒーは必ず冷めます。
「エントロピー増大の法則」は宇宙を支配している絶対法則なのです。

生物は、この法則に抗って生きています。
生物学者の福岡伸一先生は、そのことを「動的平衡」という概念でまとめています。

生物は、新陳代謝を繰り返しながら生きていますが、それは、先に壊してから新しきをつくるというプロセスだと言います。

福岡先生は著書の中で「生命は、生きるために先回りして壊す」と表現していますがが、組織も一つの生命体であり同じだと考えるのです。

組織は、意図的に壊さないと成長しません。
このことは組織の発祥から成熟までの過程を見ると分かります。
創業期では、0→1を生み出す「クリエーション」の才能が求められます。創業を飛行機の離陸に例えれば、離陸する時は強い推進力が求められるので、トップダウン型のリーダーシップが適しています。

その後、事業を安定飛行させるために「オペレーション」が重要視されるようになります。
創業メンバーには、多少のリスクがあっても挑戦する根性が求められるのに対し、オペレーションには「失敗しない」能力が求められます。オペレーション安定のためには、誰がやっても同品質のアウトプットができるよう業務を標準します。
それにともない、組織は官僚化が進みます。

このように、まったく違うタイプの人間が、同じ組織に同居するようになるのですが、構成比率は、オペレーションの比率が6割〜8割以上と大多数を占めます。
組織は通常、多数派に支持された人が管理職に選ばれますので、時間とともにダイナミズムを失っていく宿命を負っているのです。

だから、動的平衡を維持するためには、意図的に壊すことが求められるのです。
しかも、ガチガチに固まってから壊すのはとても大変なので、日々、壊すことが求められます。

壊し方にはどのようなものがあるでしょうか。

ある社長は好奇心が旺盛で、いつも新しい考え方やノウハウを会社に持ち込みます。社員はすごく迷惑そうなのですが、動的平衡の観点からすればとても良いことなのです。

僕が経営してきた新聞店では、地域づくりを行っており、日々、地域の人が社内に出入りしています。その多くはお客様です。お客様は忖度なく本音をぶつけてきますし、自分たちの常識を超えたアイデアを持ち込んでくれます。
混乱することもありましたが、結果的に「壊す」の習慣化に貢献していたのだと思います。

老師は死生観を次のようにまとめました。

「生物は生きている時は柔らかく脆いが、死ぬと堅くこわばってしまう。つまり堅くて強いことは”死の仲間”である。柔らかくて弱いことは、生の仲間である」

企業が常に「生」の側にいるためには、作るよりも先回りして壊す必要があります。
あなたの組織で「先回りして壊す」一歩を踏み出すとしたら、どんな方法があるでしょうか。
 

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