仕事を任せるな。「未来」を任せよ。

指示命令で動いていては良い仕事ができないし、人も育たないということで、権限委譲という考え方が生まれました。
調べてみると、ピーター・ドラッカーが1954年に著書「現代の経営」の中で提唱し世界中に広がったようです。

しかし、権限委譲は構造的な問題をはらんでおり、やがて人と組織の成長の足かせになる可能性があります。

権限委譲とは「この範囲内であれば自分で考えてね」という任せ方をしますが、同時に「範囲を超える場合は相談してね」という条件がつきます。
権限委譲は責任とセットで成り立つため、範囲を超える案件、前例のない案件を、責任が取れない部下に任せることができないからです。
すると必然的に既存業務の範囲内か、それを少しだけ超える案件しか委譲することができなくなります。

この構造が人と組織の育成を阻みます。
研究によると成長の要因の7割が、失敗などの「想定外の経験」であることが分かっています。
権限委譲は、未来を創造する仕事=前例のないことへの挑戦=想定外がたくさん起きる仕事を、若手に任せることができず、年配ばかりが独占することになります。
つまり、その構造上、次世代が育たないのです。

また、未来を創造する仕事は、重要だが緊急性は低いので、先延ばしにしやすい傾向があります。
特に定年が近い人はそうなりやすいのではないでしょうか。

放置すれば、やがて緊急事態に直面します。
歴史を紐解くと、そこで初めて世代交代が行われるケースが多いのです。国家も企業も、時代の端境期にはこのようにして若手が組織を変えてきましたからね。

しかし、追い込まれてから動くのはリスクが伴いますので、事前に、計画的に行いたいものです。

僕が経営支援で関わっている企業では、40代の社員さんが中心になり、組織の未来をつくるプロジェクトに取り組んでいます。
熱心に取り組む若手も素晴らしいのですが、上司や支援部署の方々も「任せ育てる」という、非常に難しい課題に挑戦しています。
若手に難しい仕事を任せ、自らはもっと難しい仕事に挑戦する…みんなが成長し組織は素晴らしく底上げされるでしょう。

話をもとに戻します。
若手に未来を託す重要性は理解できるが、同時に、託すことに恐れを抱く人が多いのも事実です。
しかし、よくよく考えるとそんなに怖いことではないことが分かります。
というのも、未来をつくる仕事はすぐには成果が出ません。すぐに良くならない代わりに、すぐに悪くなることもない。
なので、プロセスの過程で雲行きの怪しさに気づき、その時点で手を打つことができるものです。
「蓋を開けたら取り返しのつかないことになっていた」というようなことはほとんどありません。

最後にまとめます。

□未来をつくる仕事は権限委譲では限界がある。
□人は想定外の経験を通じ育つことを心得る。
□未来創造を任せるのは怖くない。

次世代への移行は、余裕がある時に計画を立てるべしと考えます。
「まだ先でいいや」と考えていると、いつか大変な事態に直面するかもしれません。

是非、今日の記事を活用し、まずは脳内で予行演習をしてみてはいかがでしょうか。
 

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