失敗できる組織が最後に笑う。「失敗のマネジメント」三原則

挑戦しないと成長できないどころか、環境の変化に置いていかれ淘汰されることはみんな知っています。

しかし、人も組織も、一定の豊かさを手にすると急に守りに入り、挑戦よりも失敗しないことを選ぶようになります。

行動経済学に、「人は損をしたくない生き物」という特性を示すプロスペクト理論というものがあります。
コインを使った実験で有名ですね。

①コインを投げて表が出る→100万円をもらえる。
②裏が出る→50万円を失う。
③ゲームに参加しない場合、無条件に20万円がもらえる。

上記の3つの選択肢を与えると、大多数が③…つまり参加せずに20万円をもらう選択をするそうです。

ひと通りの豊かさを手にした現代は③の状態と考えることができます。
失敗してキャリアに傷がつかないように。クレームが来ないように。恥をかかないように…行動原理が「失敗しないこと」になっています。

それに対し、現代人の価値観は大きく変わりつつあります。内閣府の調査では、モノの豊かさよりも心の豊かさを求めると答えた人が大幅に上回っています。

成熟社会を生きる生活者は、「なんだか満たされない」「もっとワクワクしたい」といった漠然とした不満や望みを持っていますが、じゃあどうすればよいのか、答えは持ち合わせていません。
企業がそうした正解のない欲求に応えるためには挑戦が必要で、挑戦には試行錯誤がつきものです。
やってみなきゃ分からないが、やれば分かることがある。よって「たくさん試してみる」ことが最も有効な対応策になります。
それに成功した時に、顧客は「そうそう、こういうものが欲しかったの」と言い、提供されて初めて自分が欲しいものに気づくのです。

以上の理由から、たくさん失敗できる文化の醸成が欠かせないと考えるのです。
しかし、それはコインの実験のような「表か裏か?」のギャンブルではありません。
失敗リスクを最小限で済むようにコントロールしながら、大胆な挑戦ができる戦略を立てるのがベストです。

その秘訣を先人の知恵から学ぶと、次の3つの要件が浮かび上がります。

❚ 失敗を咎めず、失敗から学ぶ文化

失敗を咎められれば挑戦するはずはありません。それなのに、咎めておいて「失敗を恐れるな」というリーダーがいますが、それは傍若無人と言うもの。かといって「いくら失敗しても良いよ」では上手くいきません。
失敗から学ぶ育成法を、組織として仕組み化することが欠かせません。

❚ お金のマネジメント

失敗を繰り返した挙げ句、「気付いたたらお金が底をついた」ではあまりにもお粗末です。会計に対するリテラシーは必須です。

❚ 自前のベーシックインカムを持つ

経済的な悩みは、思考を萎縮させリスクを取る挑戦ができなくなります。安定した収入がある方が果敢に挑戦することができます。
例えば、アインシュタインは特許庁で審査委員を務め、ベーシックインカム的な安定収入を得ながら、後に物理学に革命を起こすことになる「光量子仮説」の論文を書いていたことが知られています。
このように、リスクの異なる2つのことを並行する戦略を「バーベル戦略」と言いますが、これは企業にも有効です。

では企業にとってのベーシックインカム的なものとはどんなものでしょうか。
それは、自社を信頼し共感してくれる顧客の存在です。
信頼と共感で結ばれた顧客が多くいると、業績は急に良くなったり悪くなったりせず、非常に安定します。

ますます先行きが不透明で、将来の予測が難しい「VUCA化」は進むと思われますので、「たくさん失敗できる方法」の開発は急務だと考えています。
 

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