母語を習得したプロセスを人材育成に応用する

私たちは、特に日本語教室に通っていないのに日本語が堪能です。
よく考えるとすごいことだと思うのですが、これを「母語教育法」と名付けバイオリン教育に応用したのが「才能教育研究会」(通称、スズキメソード)」です。
母語を習得したプロセスをバイオリン教育に活かせば天才が育つと考え、世界的なプレーヤーを大勢輩出しています。

これは、ビジネスにおける人材育成にも応用できる、ということで今日の記事で考察したいと思います。

私たちが母語を習得過程には次の4つが内在します。

「意欲」「体験学習」「発見」「フィードバック」

1つ1つ見ていきましょう。

「意欲」…私たちは、家族が楽しそうに会話をしているのを見て「自分も輪に入りたい」という意欲を持ちました。ここがすべての出発点です。

「体験学習」…会話に加わりたいと思った時に、私たちは、耳で聞いたものを声に出し、とにかく喋ってみたはずです。家族がお手本を示してくれ、それに習い試行錯誤をしました。

「発見」…上手に喋れた時に、それを家族が喜んでくれました。

「フィードバック」…家族は、我が子が喋ったことを心から喜び、「すごいね!」と気持ちを伝えます。家族が喜ぶ様子を見た子は、それが嬉しく、もっと喋るようになろうという意欲を持ちます。

さて、このプロセス、どこかで聞いたことはないでしょうか。
そう、山本五十六の教育訓です。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」

ちなみに、スズキ・メソードでは次のような形で母語教育法を実践しています。

「意欲」…入会してしばらくはバイオリンを持たせてくれません。その代わり、親が一曲「楽しく」弾けるように練習をします。
親が楽しく弾けるようになると、それを見た子どもが「僕にもやらせて~」と言うんですね。
その瞬間にバイオリンを渡し練習が始まるのです。

「体験学習」スズキメソードでは楽譜は使いません。母語を習得した時と同じように、耳で聞いたものを表現するという方法=「耳コピ」で曲を覚えます。

「発見」「フィードバック」
指導者がマンツーマンで教え、ちょっとした成長を確認し親と共有します。子どもは指導者と親、双方からフィードバックを受けすくすくと育っていきます。
時に厳しいフィードバックも行いますが、ポジティブなフィードバックを十分に受けた子どもは、厳しさを糧にして前進することができるのです。

さて、「意欲」「体験学習」「発見」「フィードバック」の4点セットはどのように職場に応用できるでしょうか。
自社の文化に合った方法を考えていただきたいのですが、今日は、僕が経営した新聞店の事例を紹介しますね。

当社では、4つのうち「発見」から事を始めました。
これこれ20年も前の話ですが、当社では「モア心地よさ運動」なるものを展開しました。
文字通り、今よりも少しだけお客様に心地よくなっていただく活動を、社員が主体的に開発する運動です。

プロセスは次の通りです。

「発見」…社員は、各々,自分なりに考え実践してくれましたが、それを「良い告げ口」として、上司から僕に報告をしてもらうようにしました。

「フィードバック」…寄せられた「告げ口」をもとに、社内報を作ります。

これを見たスタッフは、社内報で紹介された喜びもさることながら、上司が自分の良いところを見て、それを社長に報告したことに感謝します。感謝された上司も嬉しい。
社長である僕は、実践者に対しても、報告した上司に対しても感謝します。
職場は「喜ばれる悦び」に満ち溢れますよね。

「意欲」…仲間や上司、社長が喜び合う姿を見た社員は、「自分も輪に入りたい」と意欲をかき立てます。

「体験学習」…定期的に勉強会を開き、実践者が自分の実践を仲間にレクチャーします。

いかがでしょうか。
当社の事例は、あくまで当社の文化に合った方法です。
「意欲」「体験学習」「発見」「喜ばれる悦び」を基礎にして、自社の文化に合う、成長の好循環を開発してみてはいかがでしょうか。
 
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