「幸せに働く」が最強の戦略…「逆マズロー」という生き方
「幸せのためには儲けが欠かせない」という主張に対し、「幸せなら儲からなくてもOK」という反論があります。
僕は、ずっとこの議論に違和感を感じていたました。その理由は、利益と幸福を天秤にかけているからです。
僕の周囲には「幸せに働いていたら儲かっていた」という、両者を統合した生き方をしている人がいます。
一体、彼らはどんな働き方をしているのか?そして、それが利益につながる理由とは?
今日はそんなことを考えたいと思います。
❚ 幸福はゴールではなくプロセスに内在するもの
そもそも、私たちの活動の大目的は「幸福」です。ビジネスで成功したいのも、そのためにノウハウを学ぶのも、すべては幸福がゴールにあります。
ところが、このゴール設定に大きな罠が潜んでいます。
「死ぬ瞬間の5つの後悔」の著書で有名な、ブロニー・ウェアは、長年のホスピスでの緩和ケアの経験から、人が最期に後悔することには共通項があることを発見し、自身の著書で紹介しています。
それによると…
・あんなに一生懸命働かなくても良かった。
・もっと自分の気持ちを表す勇気を持てば良かった。
・自分自身に忠実に生きれば良かった。
・友人関係を続けていれば良かった。
・自分をもっともっと幸せにしてあげればよかった。
幸福をゴールに頑張ってきた。しかし、そのために、幸福にとって大切なものを犠牲にしたという、本末転倒の構図が見て取れますね。
ここから得られる教訓は、幸福は未来に手にするゴールではなく、プロセスに内在するものだということです。
65歳で他界した僕の父は、余命宣告を受け入院した当初は、看護師さんに自分の成果物…財産や地位などの自慢ばかりをしていました。それが、亡くなる直前は、家族旅行や、会社が大変な時に助けてくれた社員の話など、過程にあった幸福をしみじみと語るようになりました。
僕には父が、幸福がゴールの先にないことを悟り、振り返りという行為を通じ、生き直しをしているように見えたのです。
ここまでの話を聞くと「幸福とお金は無関係」と思われるかもしれませんが、そうではありません。基本的な経済基盤が必要ということは勿論ありますが、まったく別のパラダイム…お金と幸福の、もう1つの関係性があるのです。
❚ 「逆マズロー」のパラダイムを生きる商人
それが「幸せに働いていたら儲かっていた」ということです。
これを、マズローが提唱した「欲求段階説」をもとに考えたいと思います。

欲求は、低次(下の方)の欲求から順番に満たされていくとされていますが、決してその限りではないことは、誰もが感じていることだと思います。まったく売れていないが自己実現を生きている芸術家などは大勢いますからね。
実は、マズロー自身も、このことに関しては確信が持てなかったようです。
「幸せに働いていたら儲かっていた」という人は、ピラミッドが逆になっているのです。

「自己実現を生きる幸福感」→「創造性の発動」→「経済的な成功」→「各種欲求の充足」
特に、成熟社会のビジネスには創造性が必須ですので、それが発動する環境…ご機嫌で幸福に働ける環境づくりは、経営者が最も力を入れるべき要件です。
特筆すべきは「儲けのためには幸せが必要」という構造ではないことです。そもそも幸福がプロセスにあるのだから、それを儲けのための手段にした瞬間に霧散してしまうのです。
最後に、「逆ピラミッド」のパラダイムで生きる、小売業を営む友人の言葉を引用します。
自分で試してみて「お客様に紹介したい」という衝動にかられたものしか仕入れない。そして、その衝動を、POPやチラシで包み隠さずに正直に伝えるようにしている。だからお客様は僕を信頼してくれ、特段、広告を打たずとも、お勧めすれば買ってくれる。
価値に見合った値段をつけるから利益が出る。しかも、仕入れの際には、買ってくれるお客様の顔が浮かぶので、適正な数を仕入れることができ、無駄な在庫を抱えたことがない。
管理会計に詳しい方なら、儲かる理由が数式で観えるのではないでしょうか。
幸せに働く人は、目の前の仕事を「こなす」のではなく「味わって」います。
だからこそ、細部に魂が宿り、自然と人を惹きつける。売上や利益は、その仕事への想いや誠実さに共鳴した“ありがとう”の集積だと考えます。
新しい働き方が、今後ますます浸透していくのは間違いないでしょう。
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