お客様が「恋に落ちる」ビジネスを目指す。
近所の商店主が、しみじみと「今の時代の商売は難しい」とつぶやいていました。
店主いわく、昔は、朝、店頭に商品を並べておけば、夕方には売り切れていたそうです。「昔」というのは、昭和30年代〜40年代です。
商売の難易度が高まったのは、ひと通りのモノが普及したからです。
昔は、マイホームを建てたら、家の中をモノで満たしたかったのに、今では、あふれ余るモノたちにウンザリし、「こんまり」さんこと、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんの本を読んで、せっせと断捨離をしているのです。
ちなみに、こんまりさんの本は世界中で1000万冊も売れたそうです。モノ余りは日本に限ったことではないんですね。
現代の商売の難しさは、恋愛に例えると理解できます。
以前は、世の中に「彼女が欲しい。彼氏が欲しい」と、恋愛願望が強い人たちが多かったので、後は「誰と付き合うか?」が課題でした。
HOT-DOGやPOPEYEなどのトレンド雑誌には、数々の恋愛のテクニックが紹介されていましたね。
時代は変わり、現代は、恋愛願望を持たない人が増えていると言います。誰と付き合うか?ではなく「誰とも付き合わない」という選択肢を持っているのです。
そういう人には恋愛テクニックも戦略も通用しません。
恋愛を「商売」に、付き合うを「購買」に置き換えると現代ビジネスの難易度がお分かりいただけるのではないでしょうか。
もちろん、日用品に関しては例外ですが、その市場は大手の寡占化が進み、後発が入り込む余地はありません。
訪問販売や電話でのセールスは「ストーカー行為」
望んでもいない顧客に声をかけることは「ナンパ」と同じと思った方が良いでしょう(笑)
この事実に加え、現代人は、何でも手のひらの中で調べる術を持っています。企業が発信する情報よりも生活者の評価を気にします。100%生活者が主導権を持っていると言っても過言ではありません。
そんな時代に、私たちはどのように商売をすれば良いのでしょうか。
その秘訣は、まさに恋愛にあると思います。
それは「恋に落ちる」です。
誰かに落とされたわけでも、自分から落ちたわけでもない「気づいたら落ちていた」という様態です。
商売で言えば、「そうそう、こういうのが欲しかったの」と、提案されて初めて自分の欲しいものに気づくということです。
これは、非常に奥が深く、そもそも提案を受け入れる関係性があるということですので「落ちる」までの物語は結構、過去に遡るのです。
例えば、僕の友人が10年ほど前にカフェを開業しました。オーナーは開業に備え、地域の人たちに「どんなカフェが欲しいか?」と調査をしたんですね。
しかし、ひと通りのスタイルのカフェが出揃った今、聞かれても答えられないのです。
結局、オーナーは、自分が良いと思うもの…より正確には「心から薦めたいもの」を提供することにしました。それは、店舗のデザインからメニュー、接客に至るまで、細部にわたります。
結果、オープンと同時に繁盛店になったわけですが、来店客の言葉に現代ビジネスの特徴が表れています。
「いい感じのお店ができた」
皆さん、そう言うんですね。
「いい感じ」という表現には、「安い」とか「美味しい」といった分かりやすい価値でなく、複雑な感性価値のニュアンスが含まれています。
同店の成功を、後にコンサルタントが分析をしましたが、どれも後付けの理屈で、参考にならないとオーナーは言います。
なぜならば、同店の価値は「オーナーから滲み出たもの」で、顧客は「恋に落ちた」からです。
顧客が必要性を自覚しているモノの市場は、今後、ますます大手による寡占化が進みます。
中小企業は、万人受けはしなくても、ある感性を持った人が、思わず「落ちる」商いが向いていると思いますが、皆さんはどうお考えでしょうか。
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