部下に厳しくできないリーダーの指導術
部下に厳しいことを言えない管理職が増えているようです。
人材育成・組織開発を手掛ける「ALL DIFFERENT株式会社」の調査によると、半数以上の管理職が「部下へのフィードバックに躊躇したことがある」と回答しています。
まあ、躊躇したことがない人の方が稀なわけで、特に異常な結果だとは思いませんが、むしろ問題は「厳しいことを言われた部下が何を感じるか」だと考えています。
フィードバックには、肯定的なフィードバックと否定的なフィードバックがあります。
肯定的なフィードバックは上司も部下も楽しいしいので問題ありませんが、否定的なフィードバックは伝え方に注意が必要です。
特に、日本では「褒めて伸ばす」という風潮が長く続きましたので、否定的なフィードバックに対する耐性を持たない人が増えています。
しかし、褒めてばかりでは人は育ちません。
どのように否定的なフィードバックを与えればよいのでしょうか。
実は、僕は社長時代に、社員に否定的なフィードバックをすることがほとんどありませんでした。
その理由は必要がなかったからです。
社員が優秀だから?
違います。
僕がフィードバックをしなくても、自分で「セルフフィードバック」ができる環境をつくったからです。
秘訣は「一次情報」を伝えることです。
例えば、新聞配達員でクレーム(誤配)が多い社員がいたとします。クレームは大抵、事務員が受けます。通常、配達部門の管理職は事務員から報告を受け、当の配達員に否定的なフィードバックとともに、対策を指示します。
いわば、一連の出来事を管理職が編集した「二次情報」を配達員は受け取るわけです。しかも対策までしてくれるという厚遇です。
当社は、これをせず、できるだけ一次情報に近い状態で伝えるようにしてきたのです。
例えば、ある日、お客様から強烈なクレームをいただいたことがありました。まさに烈火のごとく怒り続け、事務員は心を引き裂かれるような思いをしました。
事務員は、ありのまま管理職に伝えました。

この一次情報を、何の加工もせず、そのまま配達員に渡します。
もし、あなたがクレームの原因を作った配達員だったら何を感じるでしょうか。
おそらく、ほとんどの人が罪悪感を抱くはずです。
その時に、管理職が叱責ではなく、「こういう事が二度と起きないように、一緒に対策を考えよう」と支援をしてくれたらどうでしょう。
その方が「人間の理」に適っていると思うのです。
当社の取り組みはいたってシンプルです。
「ありのままを伝え、自分で考えてもらう。管理職は支援をする」
ということです。
この話をすると「ウチの社員は自分で考えるほど一人前じゃない」という人がいますが、考えさせないから一人前にならないのではないでしょうか。
あるいは、支援の姿勢が欠如しており、叱責だけになっているのではないでしょうか。
叱責よりも、事実の伝達と支援。この組み合わせが部下を一人前へ導くとともに、管理職を孤独から解放することになると考えています。
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