寝る大人は栄える…睡眠とイノベーションの意外な関係
「日本人は世界で最も睡眠時間を削って働いている」そんなことを示唆する調査があります。
睡眠アプリを提供している会社が、睡眠時間と1人あたりのGDPの関係を国別に調査しました。
その結果、おおむね睡眠時間が長い国の方が1人あたりのGDPが高い傾向が見られました。

日の丸を見ると一番下に位置していますね。最も睡眠時間が短いのですが、GDPは「中の少し上」といったポジションです。
日本人が睡眠時間を削って何をしているは調査では見えてきませんが、その昔「24時間戦えますか?」のCMが流行ったことや、労働生産性がOECD加盟国中28位という事実を勘案すると、がんばって働いている可能性は否定はできないと思います。
私たちは、働き方を量から質に変える時期に来ていることは間違いありません。
それを考える上での糸口として役立つのが「経済が良くなる3要素」です。
「人口増」「効率性向上」「イノベーション」の3つですが、これはそのまま「企業成長の3要素」でもあります。
日本は2008年をピークに人口減少期に入り、今後増加の見込みはありません。
効率性向上に関してはどうでしょう。これまで日本企業の競争力の源泉は「リードタイムの短さ」でした。生活者はモノに飢えた腹ペコ状態でしたから、市場に素早くモノを押し込めむことができる企業が強かった。
しかし、今では、生活者はモノの多さにウンザリして断捨離に励んでいます。
まだまだ効率性改善の余地はあると思いますが、そもそも市場が埋まっている状態では限界があるのは自明と言えるでしょう。
モノが満たされたことはGDPの伸び率に表れています。GDPの額は増えていますが、成長率は1960年代にピークに、その後右肩下がりのトレンドが続いています。
残るはイノベーションということになりますが、この言葉も怪しいものです。近代のイノベーションの代表格と言えばインターネットですが、その普及をもってしてもGDPの成長率鈍化を食い止めることができていません。
それもそのはずで、インターネットは既存のやり取りを効率化する効果はあるが、新しいGDPを生み出す効果は限定的です。
例えるならば、高速道路にETCが導入されても利用者が増えないのと同じです。
イノベーションというと、大上段に聞こえますが、僕は、もっと身近に考えています。
それは、生活者に「そうそう、こういうのが欲しかったの」と言わせること…企業から提供された商品やサービスを見て初めて自分が欲しいものに気づくような、新しい価値をつくることです。
これは、何もiphoneのような発明でなくとも、今ある商品・サービスの価値を再構築することで可能です。
それを導くために有効な問いが「その先に何があるか?」です。
僕が尊敬する作業療法士は、僕に「一流の作業療法士にかかると身体の動きが良くなるが、超一流にかかると人生がよくなる」と言いました。
リハビリにより腕が上がるようになるのですが、その先に、スポーツができるようになるという体験が待っていますし、さらにその先には友達ができるといった、より素晴らしい人生が拓けます。
ある友人は、簡単に作れる紙飛行機を「忙しいお父さんへ。10分あればお子さんから”お父さん凄い〜”と尊敬される体験ができますよ」というメッセージで爆売りしました。
その先にある体験を言語化することで、これまでになかった価値を創造することができるのです。
これなら、どんな企業にも可能性があると思います。
日本という国を、「寝る子は育つ」ならぬ「寝る大人は栄える」という国していきたいと、僕は切に願うのです。
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