任せる前に、一緒にやれ。組織を強くするリーダーの行動学
「社長室を作ると会社がおかしくなる」という説が昔からあります。
これは別に、社長室という空間が直接的な原因ではなく、社長が部屋に閉じこもることで、社員との交流が疎かになることが真因です。
成功した社長が講演会に呼ばれるようになり、会社を空けると業績を落とすことがありますが、これも同様です。
業績の良いチームのリーダーの時間割を調べると、部下とのコミュニケーションに多くの時間を咲いていることが分かります。
逆に、業績の悪いチームのリーダーは、書類や資料の作成時間が多い傾向があります。資料を作るなら自分だけの空間に閉じこもった方が集中できますね。
よく、リーダーは作業は部下に任せ、組織の未来をつくる仕事に集中すべきと言われます。いかにも説得力がありますが単純解釈は危険です。
組織の未来をつくる仕事の中でも、部下とのコミュニケーションは何よりも優先すべきものです。
なぜならば、どんなに優れたビジョンを作ったとしても、信頼関係ができていないと、部下が受け入れてくれないからです。
同じプロポーズという行為でも、好きな人から受ければ嬉しいし、嫌いな人から受ければ迷惑なのです。
良し悪しは絶対的なものではなく、関係性などの文脈によって決まるものです。
ビジョンとは「これまでとは違う新しいもの」です。人は変化を嫌いますので、ビジョンを提示されると反射的に拒絶する人が多い。
ただでさえそうなのだから、関係ができていない人に言われたら、聞き耳を持ってもらえないのは当然のことだと思います。
よく「社員にビジョンが伝わらない」という相談を受けますが、原因はビジョンの巧拙ではなく、土台となる関係性ができていないケースがほとんどです。
コミュニケーションは何も、言葉を交わすだけではありません。むしろ「一緒に何かをやる」というコミュニケーションの方が有効です。
100円ショップのダイソーでは、商品が到着すると、立場関係なくみんなで受け取り作業を行う「デバン」と呼ばれる習慣があります。
だから「作業は部下に任せる」という単純解釈は危険だと考えるのです。
では、どうすれば良い関係は築けるでしょうか。
それは、難しく考える必要はなく、とりも直さず「一緒に」何かをすることです。
恋人との関係を考えると分かりますが、一緒に映画を見る、一緒に食事をする、一緒に料理を作ることで関係性の土台が築かれます。
その上でより深い話ができるのです。
どんな映画を見るか? 何を食べるか? どんな料理をつくるか?といったコンテンツは、実はさほど重要ではありません。
リーダーと部下の関係も同じで「一緒にセミナーに参加する」「一緒にランチを食べる」「一緒に作業をする」といった積み重ねは、組織の未来をつくる上で、何よりも優先すべき大事なのです。
そういう意味では、しっかりと関係ができる前に任せることも危険です。
指示ゼロ経営を目指すリーダーの中には、一刻も早く部下に任せたいと願う方がいると思いますが、任せるためにはビジョンの共有が必要で、ビジョン共有のためには関係性が不可欠です。
土台が脆弱なまま急いで任せると、すべてが地滑り的に崩壊します。
どんなに立派な戦略やビジョンも、信頼を土台にしていなければ絵に描いた餅で終わってしまいます。
「一緒に」の積み重ねによって築いた信頼関係があり、初めて未来に向けて動き出します。
僕は、何も、ずっと一緒にいることを勧めているわけではありません。要諦は、しっかりとした信頼関係ができる前に離れてはいけないということです。
今日の記事は、とても泥臭く感じるかもしれませんが、重大な企業繁栄の哲理だと考えています。
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