組織の状態は、リーダーの「心の風景」の表れという話
「部下はリーダーの映し鏡」と言いますよね。
部下の良い言動も悪い言動も、リーダーのあり方の反映ということですが、その言われ方が、少々精神論に偏っていると感じています。
というわけで今日の記事では、より集団力学的に「映し鏡」について考えてみたいと思います。
僕は、企業の個性はまさに「十社十色」ということを実感しています。
社員がよく喋る企業がある。逆に、社員がすごく大人しい企業もある。社員が自由と好き勝手を履き違えている企業もある。
立てた計画を着実に実行できる企業もあれば、途中で頓挫してしまう企業もある。
こうした個性の差に興味が湧き、様々な研究知見を調べたた結果、これは「たまたま」ではなく、リーダーの個性と部下の個性が織りなす現象という仮説に至りました。
どういうことでしょうか。
これを考えるために、リーダーの個性を「おおらか」と「厳しい」に。部下の個性を「自由奔放」「従順」に分け、4つの象限で整理します。
まずはAの象限…「厳しいリーダー」×「自由奔放な部下」の組み合わせから。
この象限にいる組織では、部下が、細かく管理するリーダーに反抗するか、リーダーの指示を無視して動いているという光景が見られます。リーダーは強いストレスに苛まれることになるでしょうし、部下は部下で束縛されるストレスに苦しみます。
しかし、この象限にいる組織は非常に少ないのです。
なぜならば、リーダーは、採用時点で自由奔放な社員を排除し、無意識のうちに大人しく従順そうな社員を採用するからです。
つまりB象限…「厳しいリーダー」×「従順な部下」の組み合わせになります。
B象限にいる企業に関わったことがありますが、見事なまでに大人しい社員ばかりで、グループワークが盛り上がりません。社長は「もっと積極的に」と頭では望みますが、潜在意識下では今の状態を望んでいるのです。
無意識の願望に気づかない限り、組織が活性化することはないでしょう。
次にC象限を見ましょう。
この象限は「おおらかなリーダー」×「自由奔放な部下」ですので、相性が良く、リーダーは思い切って任せることができます。ただし「部下に実力がある」という条件がつきます。実力のそぐわない課題を任せると、部下はストレスから傍若無人に変身するので注意が必要です。
D象限は「おおらかなリーダー」×「従順な部下」の組み合わせです。
おおらかで親分肌のリーダーに、精神的に幼い部下が依存するという構図です。
部下はリーダーを慕い、リーダーに褒められることをやり甲斐とします。また、リーダーは慕ってくれる部下が可愛くてしょうがない。
こちらも、リーダーは無意識のうちに未熟で従順な部下を採用する傾向があります。
この象限では、リーダーが面倒を見れば仕事が進みますが、そうでないと上手くいかないどころか、リーダーに対し「関わってくれない」と不満を持つようになるので注意が必要です。
リーダーと部下、双方の個性の組み合わせで組織の状態が決まる。しかもリーダーの影響が色濃く出るということで「部下はリーダーの映し鏡」と言うわけです。
良い組み合わせをつくるためには、次の3つの対応策があります。
1、リーダーは自分の無意識の癖に気付き、自分を変容させる。
2、自分のタイプに合った社員を採用する。
3、自分に足りない資質を持つ人を「No.2」に立て、補ってもらう。
組織の文化は「たまたま」ではなく理由があってできるもの。
その理由を知れば、意図して良い組織をつくることができると考えています。
さて、10月22日(水)に「採用術セミナー」を行います。
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