言葉の数だけ世界が広がる…経営に効く「語彙力」の真価

「キツネのカミソリ」という花をご存知でしょうか。
8月の初旬くらいから花をつける、どこか寂しさと儚さを漂わせる植物です。

僕は、この花の存在を妻から教えてもらいました。
「変わった名前だな」というのが最初の感想でしたが、名前にインパクトがあるので一発で覚えました。
すると、世界が変わりました。
これまでも、この花は至るところで見てきたはずですが、名前を知ってから、やたらと目に付くようになったのです。

言葉が認知を規定するということ、つまり「言語で構築された世界」を生きているということです。

日本語は、蝶と蛾という言葉を持っているので、日本人は「これは蝶」「これは蛾」と区別することができますが、フランス語では両方とも「パピヨン」で統一されているので、区別のしようがありません。全部「パピヨン」なのです。

日本には、雨の呼び名が数多くあります。
「五月雨」「秋雨」「霧雨」「時雨」「氷雨」「寒の雨」「朝時雨」など、その数なんと400種類もあるそうです。
英語は50種類ほどと言われていますので、日本人の「雨風景」は英語圏の人たちの8倍も存在することになります。起きている事実は同じにも関わらずです。

以前に、ある言語学者が、「ヤバい」「スゲー」を連発する日本人に対し、感性が枯渇する危機感を指していましたが、本当に怖いことだと思います。

課題設定は成長の一丁目一番地。
言葉を知った分だけ世界が出現する。世界の解像度が上がる…これは経営にも当てはまります。

優れた企業は言葉のレパートリーが豊富です。
言葉が認知を規定するので、言葉の数だけ課題を浮き彫りにすることができるのです。

例えば「コミュニケーション」
日本語の「伝達」や「意思疎通」では足りない、双方向性・相互理解などを含む、広く深い概念ですが、この言葉があるから、私たちは、この概念を確かな手触りをもって扱うことができるのです。

業務の流れの滞りの箇所を「ボトルネック」と言いますが、この簡潔な言葉を持っていることでボトルネックを発見できるようになります。
ボトルネックは日本語では「隘路」(あいろ)と言いますが、ほとんど使いませんよね。つまり、ボトルネックという言葉(あるいはそれを表す別のオリジナルの言葉)を持っていないと、一丁目一番地に立つことができないのです。

言葉は単なる記号ではなく、私たちの認知を形づくるレンズみたいなものです。豊かな言葉を持つ人や組織は、より多くの現象を捉え、課題を発見し、未来を描くことができる。
キツネのカミソリが咲く庭を見ながら、そんなことを思ったのです。
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