AmazonとSONYに学ぶ、失敗の作法

目標設定が間違っていると戦略は必ず破綻します。それどころか、組織内の信頼関係が崩壊する危険性すらあります。

設定ミスの典型が、目標が「方針」になっているケースです。
例えば、「札幌に行く」というのは目標ですが、「北の方に行く」というのは方針です。方針を目標に設定してしまうと、社長は札幌に行くつもりなのに、メンバーは青森に行こうとするという齟齬が生まれます。
すると、メンバーは頑張って進んでいるのに、リーダーから「違うだろ」と言われ、やがて信頼関係にヒビが入ることになります。

経営の教科書には、人によって解釈が違わないように「目標は到達点を示せ」と書かれています。本当にその通りだと思います。
「クレームをゼロにする」というのは到達点ですが、「クレームを減らす」というのは方針です。

あなたの会社では、方針が目標になっていないでしょうか。

とまあ、ここまでは教科書の話。

実際に経営をしていると、出来栄えが設定できないことがあります。
それは「今のままではダメなことは分かっている。でも、どうしたら良いか分からない」という状態です。
例えば、僕は「新聞が衰退することは分かっているが、それに代わるビジネスが思いつかない」という経験をしました。
この場合は、一時的に「新規事業を模索する」といった方針を旗印にして動くしかありません。

他にも、ある企業では、これまで販売チャンネルを訪問販売一本でやってきましたが、今のご時世では、インターホンで撃退されてしまいます。他の方法に変えなきゃいけない事は分かっているが、どうしたら良いか分からない。この場合も、「訪販以外の方法を模索する」という方針をもとに動くしかありません。

方針を立てたら、「試行錯誤を繰り返し正解を探す」という進み方が王道です。

日本を代表するクリエイティブな企業といえばソニーですが、品川にある「ソニー歴史資料館」(現在は閉館)には、失敗作も展示されています。試行錯誤の重要性を示すために展示しているのです。

電気炊飯器はSONYの最初の失敗作と言われている。

Amazonも試行錯誤の達人だと思います。
あまり知られていませんが、同社はこれまで70以上の新規事業を立ち上げましたが、その3分の1は実らずに、早々に撤退しています。
逆に、67%の成功率は超人的だと思いますがね。

ジム・コリンズは、著書「ビジョナリーカンパニー」の中で、優れた組織の特徴として「たくさん試して上手くいった方法を残す」という要件をあげています。

何が正解か分からなければ、とにかく方針を定め、やりながら学び、あるべき姿を見つけようということではないでしょうか。

何をしたら良いか分からないというな時は、一時的に「試行錯誤の中から正解を探す」という方針を打ち立て、後で芽が出たら、そこから「到達点」=目標を設定する方法が有効だと考えます。

目標設定がしやすい成長期を生きてきた人たちからすれば、気持ちが悪い話かもしれませんが、現実論として、こうした場面に直面する企業は増えるのではないかと考えています。

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