正直は最強の戦略…戦略に迷ったら「本当の気持ち」を伝えよう
戦略は文字通り「戦を略す」ということで、優れた戦略ほど非常にシンプルにできています。
商売は、そもそも、商品・サービスを作って売る。あるいは仕入れて売るというシンプルな営みです。
しかし、ライバルが現れれば自分のペースで進めることができず、様々な工夫が必要になります。
そこで経営ノウハウを学ぶわけですが、ノウハウに縛られて経営が不自由になるケースがあります。
今日の記事では、経営を一度シンプルに戻す「思考の矯正」を考えます。
❚ ドラッガーを超えたシンプルな戦略
15年ほど前のことですが、シンプルに立ち戻って成功した面白い事例があります。
ある理容店では集客が芳しくなく、再起をはかるためピーター・ドラッカーの戦略論を学びました。
1.私達の顧客は誰か?
2.私達のミッションは何か?顧客のどんな悩みを解決するのか?
3.私達の顧客はどんな未来を手に入れることができるのか?
4.どんな方法でそれを実現するのか?
5.私達が選ばれる理由(強み)は何か?
上記の要件を洗い出し、戦略を立てました。
そんなある日、ある新規客から虚を突かれるひと言を聞きます。
「近所に床屋さんがないか探したんですよ」
今ではスマホで簡単に調べることができますが、当時はタウンページくらいしか調べる手段はありません。
店主は「もしかしたら、地域の人に自店の存在が知られていないかも?」と考え、次のようなキャッチコピーから始まる折り込みチラシを作りました。
「あなたの一番近くある理容店です」
チラシを配布したところ、多くの新規客を獲得することに成功しました。
❚ 正直に「みんなの知恵を貸して欲しい」と言った社長
優れた戦略がシンプルという意味では「正直は最強の戦略」と考えています。
リーダーは、自社の課題や自分の構想などを社員に伝え同意を得たい時に、つい凝った話をしてしまいます。
例えば、指示ゼロ経営を学んだある社長は、導入の意向を社員にどう伝えるかで悩んでいました。
「変化の時代に対応するため」「働きがいを高めるため」など、色んな「言い訳」を考えたのですが、考え抜いた結果、正直な気持ちを伝えることにしました。
それは…
「私にも、何が正解か分からないから、みんなの知恵を貸して欲しい」
❚ コンプレックスを正直に伝えた社長
高校中退というコンプレックスをバネに自動車販売店を起業した社長がいます。
数年で社員を雇うまでに成長し、マネジメント、特に社員のやる気を引き出す必要性に直面しました。そこで、経営セミナーに参加し動機づけ理論を学びます。
「ミッションの重要性」「承認欲求の充足」「評価制度」などを学び導入しますが、まったく効果がありません。
ある年の忘年会で、社長は酔った勢いもあり、正直な思いを伝えました。
「俺は中卒ってことでコンプレックスをバネに起業した。こうして仲間も増えた。今度は、みんなで成り上がりたいと思っている。俺たちのような元不良でも、やればできるってことを世間に見せつけてやろう」
優れたリーダーは、説得よりも納得、納得よりも共感を得ることに長けています。
合理的な理由は、納得には必要ですが、それだけでは共感を得ることはできません。
正直な想いが言葉に乗った時に共感が生まれます。
経営者は、上手に伝えようとするあまり「言い訳」をしていないでしょうか。
まずは自分の気持ちに向き合ってみる、すると何かが変わるかもしれません。
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