「部下が思うように動いてくれない」と悩んだ時に読むブログ

人は、自分の力で変えられない案件に首を突っ込んだ時に悩み苦しみます。
変えられない筆頭は「他人」です。ゆえに人間関係の悩みは、常に私たちの悩みの上位にランクインするわけですが、特にリーダーは部下の指導を担うので「悩みのるつぼ」に陥りやすい宿命にあります。

「他人は変えられない」という考え方に対し、「自分が変われば相手も変わる」と解釈する人がいます。しかし、相手を変えるために自分を変えるような軸のない人では、良好な関係はつくれないと思いますし、そもそも前提が「相手を変える」ですので矛盾しています。

変えるべきは「関係性の初期設定」だと考えます。「個性や考え方に違いはあれど、同じものを望む関係」…指示ゼロ経営でいう「望みの統合」を行うことです。

サンテグジュペリは「愛し合うということは、見つめ合うことではなく同じ方向を見ること」と言いましたが、例えば、優秀な営業パーソンは「自社の商品を使い顧客が幸せなる」という、互いが望む状態を設定し対話を進めます。

リーダーとメンバーが同じ方向を見ると、次の4つの要件が発動します。

1、モチベーション
2、コンピテンシー
3、チームワーク
4、学習意欲

コンピテンシーとは、「創造性」「協働力」といった、仕事を進める上で重要になる「行動特性」のことです。

上記4つの要件は、個人の資質にもよりますが、それ以上に環境や文脈の影響を受けます。どんなに優秀な人も、ダメな組織に入れば、意欲も行動特性も、その組織に相応しい程度にしか発揮されません。

関係性の初期設定を行わずして、部下を変えようとすると、リーダーも部下も、互いが苦しむことになります。

初期設定の大切さが分かる事例として、僕の友人が経営するアレルギー対応のパン屋さんを紹介挙したいと思います。
もともと店主はパン屋を始めるつもりはなく、アレルギーを持つ我が子のためにパンづくりを習いました。初めてパンを口にし喜ぶ我が子を見た時に、それまで自分が抱えてきた苦悩から解放されたと言います。
子どものアレルギーに関しては、親は、その原因が自分にあると考え、罪の意識に苛まれます。それから解放された経験は起業の原動力となりました。

「アレルギーのお子さんでも食べられる美味しいパンは、親子の関係を変える」という思いを軸に、店主、スタッフ、顧客が繋がり、同志の関係になりました。
リーダーがヤル気を引き出そうとしなくても、自然とモチベーションは発揮され豊かなアイデアが生まれます。同じ方向を向いていると、個性や考え方の違いを多様性として受け入れることができチームワークも良くなります。必要な知識や技術を学ぶ意欲も自然と湧き上がってきます。

特筆すべきは、雇用関係のないお客様が、友人を紹介したり、チラシやスタンプカードを作ってくれたりと、仕事をしてくれることです。
意図せずとも「オープンイノベーション」が起きているのです。

同店の事例からは、社員やお顧客との関係性が、取引でも雇用でもなく「同志」あるいは「伝道者」として設定されていることが分かります。

このように、関係性の初期設定を行うと、リーダーが変えようとせずとも、本人の意思で行動が変わっていくのです。いや、変わっていくのではなく、本来人が持っている力が発動すると言った方が適切なのかもしれません。

部下が思うように動かないと思った時は、コントロールの気持ちを脇に置き、「関係性の初期設定」に注目してみて下さい。
きっと見通しが拓けると思います。


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