最新のアプリを「Windows95」で駆動させているような経営はやめよう

パソコンは、しっかりした「ハード」に優れた「OS」(オペレーションシステム)が搭載され、そこに「アプリ」がインストールされ初めて使えるものになります。

どんなに良いアプリを入れても、土台が陳腐だと使えないということですが、これは経営にも言えることで、どんな優れたノウハウ・スキル(アプリ)も、「ハード」「OS」が悪いと活かされません。

にも関わらず、経営者は、すぐに効果が出るノウハウが好きです。日本商工会議所が昨年に行った調査では、「人材育成の方向性」として、「特定の分野における専門的・技術的な能力」を挙げた企業が最多でした。
ダイエットでも勉強でも経営でも、人はすぐに効果が出るものが好きですが、こと経営に関しては、それを煽るコンサルタントや、短期利益を要求する株主がいるので短期視点に拍車がかかります。

中小企業は「ハード」に関しては決して強くはありませんが、だからこそ、持てるポテンシャルを最高に発揮するために、OSを磨くことが大切だと考えています。

OSとは一体どんなものでしょうか?
人間にとって、最も汎用性の高いOSは、「チームワークを形成し課題を解決する能力」です。
人類が幾多の試練を乗り越えてこれたのは、チームを形成することで多様な知恵を生み出してきたからです。
たくさんのアイデアを生み出し、その中から環境に適応するものを採用したのです。

僕は、OSの真価を、夢新聞を行った学級の担任から学びました。
夢新聞は、自分の活躍を伝える「未来に出される新聞」を手作りするワークショップです。未来の日付を入れ、記事は完了形で書きます。
最高の自分を好き勝手にイメージすることで、自分の個性の傾向性を探ることを目的にしています。

同時にOSを学ぶ機会でもあります。
夢新聞では、子どもたちに「制限時間(70分)以内に、クラス全員が夢新聞を完成させる」というミッションを与えます。
講師も担任も、一切教えず、自律的な協働を促します。

これまで1万人以上が参加しましたが、その中でも最も優れたOSを持っていたのが件のクラスでした。
その協働力たるや、教室の隅にいる子が、「頑張るって漢字でどう書くんだっけ?」とつぶやくと、教室の対角線の一番遠くにいる子が近寄り教えてあげるほどです。
作品のユニークさ、作り込みの粒度、ミッション達成までの時間、どれをとっても最高レベルでした。

・豊かなアイデアが生まれる場づくり。
・困っている仲間を助ける。
・困っていたら仲間に助けを求める。
・1人1人が全体の進捗を意識し最適な行動を取る。

普段から担任がこうした訓練を行っているということですが、注目すべきは、それを行う理由です。

「どんな時代になっても、どんな場に行っても通用する基礎能力を育成するのが私の責任だからです」

と僕に教えてくれました。

この言葉は、VUCA化が進む時代で経営を行うリーダーにとって、非常に大きな洞察を与えてくれます。

どんなに優れたノウハウも、それを組織として使いこなす素養がなければ活きません。
いまだに「競争原理」「お金や出世で釣る」というOSで組織を駆動している時代遅れの企業もあります。

ノウハウを導入する前に、いま一度「OS」が現代人の感性にあったものか見直してみてはいかがでしょうか?

さて、今日の記事に関心をお持ちの方は「指示ゼロ経営マスタープログラム」をお勧めします。
自ら課題を見つけ、協働で解決する「プロジェクトマネジメント」のイロハが学べます。
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それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。