中小企業は「ボロは着てても心は錦」の経営で頭1つ抜きん出る

僕は、経営資源である「人」「モノ」「金」「情報」の中で、中小企業が成功するための鍵を握るのは「人」だと断言しています。
前時代の「モノをたくさん作って市場に流す」という商売では、モノと金を持っている企業がスケールメリットを駆使し市場を席巻しました。
今は、生活者が心の充足を求める時代で、企業には豊かな創造性が求められるようになりました。創造性は人間の領域ですので、成功の鍵を握るのは「人」と考えるのです。

こういうと、「お金のある企業は優秀な人材を採用できるから有利なのでは?」という意見が出ますが、お金の有る無しと創造性の発揮の間には相関関係はありません。
バブル期に時価総額ランキング世界1位の座に君臨したNTTは、1995年に「NTT Directory」という検索サービスを作りました。しかし、その後、世界のスタンダードの検索エンジンになったのは、当時、お金がないどころか、まだ創業すらしていなかった企業が作ったものでした。

昨年(2023年)に賃上を行った企業に、その理由を尋ねたところ「人手不足対策」とともに「従業員のモチベーション向上」という回答が上位に入っていますが、賃金を上げてもモチベーションも創造性も上がりません。
(出所:日本商工会議「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」)

もちろん、創造性の高い人材を採用する努力は必要なことですが、それ以上に「創造性が発動する環境づくり」が重要です。

アイデアの創出は「1つのことに没入する時間」で決まります。常に課題が頭の片隅にあって、お風呂に入ったり散歩をしたりしている時に、突然アイデアが降りてくるのです。
まさに、寝食を忘れるという状態ですが、これには高いモチベーションが求められます。

その昔、日本企業が時価総額ランキング上位を占めていた時代、栄養ドリンクのCMで、高田純次演じる「5時から男」というサラリーマンが話題になりましたが、仕事が終わったら別世界に行ってしまう人では、凄いアイデアは出すことができないでしょう。

あれから35年が経ち、日本人の中で、仕事に対する前向きな意欲を持つ人はたった5%と世界最低水準にまで落ち込んでしまいました。(出所:米ギャラップ社 “State of the Global Workplace 2021”)
あのCMは、今の日本を予見していたのかもしれません 笑

「創造性が発動しやすい環境づくり」が急務となるわけですが、これがなかなか難しい。
人は、ちょっと嫌なことがあったり、体調が悪かったりしただけでモチベーションが下がってしまいます。
扱いが非常にデリケートで、「ヤル気は自分で出すもの」と叫んで実現するものではなく、職人技とも言うべき技術と配慮が求められます。

モチベーションは「なぜやるか?」…意義によって生まれます。
「人に喜ばれることをやっている」「助かる人がいる」といった自覚と誇りこそが仕事の意義であり、その仕事を「自分で決めることができる」「仲間と協働できる」といった手法と合わせ成り立つものです。

中小企業は、大手に比べ「モノ」と「金」は潤沢ではありませんが、人間の士気に関しては、まったく不利ではありません。

「ボロは着てても心は錦」ではありませんが、モノや金が限られている中小企業でも、人の力を高めることで抜きん出ることができると思います。

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