もし、こんな社員が2割を超えたら、すぐに対策が必要である

健全な風土の組織がある一方で、どこか病気にかかったような、不健全な組織もあります。
前者は従来の発想に縛られずに、新しいことに挑戦しますしメンバーが主体的に取り組みます。
時に、意見が衝突することもありますが、それも会社を良くしようという思いがあるから、そして、何よりも自由に意見が言える風土があるからです。

一方、後者では、多くのメンバーが他人事です。
チームのことを考えずに、自分の殻に閉じこもっている人が多い。

集団を良くするためには、時間がかかりますが、悪くなる時はあっという間です。
あたかも、健康だった人が感染症にかかるように。

感染症は、罹り始めが肝心なように、集団もおかしいと思ったら初動が大切です。

❚集団の不健康は傍観者の数で決まる

不健全な風土が全体の2割に伝染ると、その後は指数関数的に増えてしまう危険性があります。
感染症に診断の目安があるように、集団にもあります

それは、「傍観者の数」です。
これが2割を超えると、傍観者だらけの集団になってしまいます。

例えば、学校のイジメがそうです。
イジメは、傍観者の人数で、起きるかどうかが決まることを、京都大学の正高信男教授が実証実験で明らかにしました。

学級でイジメが起きた時に、止める子が少ない=傍観者が多いクラスでは、イジメがエスカレートします。
逆に、止める人が1人、2人と増えて、それが一定割合を超えた時に収まります。
いじめっ子も、止める人が多いと分が悪いですからね。

イジメを起こさない、あるいは起きても止めれる学級をつくれる先生は、いじめっ子の対策ではなく「止める人」を増やす対策をしています。
言い換えれば、傍観者を減らす対策です。

イジメが起きないように睨みを利かすことにはあまり効果はありません。
教師がいない時に陰湿に行うことになるからです。

先生に「絶対に悪質なイジメは許さない」という信念があり、止める子を称賛し、守り止める行動を全体に広げていく、そんな「集団づくり」をしているのです。

❚集団の診察基準

さて、働く現場で考えたいと思います。
僕は、集団の健全性の1つの目安として、次のような構図を考えています。

集団の在り方や、取り組みに対し、言動が批判的か賛同的かという縦軸があります。
横軸は、態度が傍観的か参画的かです。
すると図解のように4つの領域ができますね。そして、それぞれの領域にどのくらいの割合がいるかを確認します。
注意点は、好ましくない立ち位置(領域)にいる人を責めないことです。領域の分布は、個々の資質よりも集団の風土の影響を受けるからです。

左下(グレー)は、批判的かつ傍観的な人です。
ただ文句を言っているだけの人、あるいは問題提起だけしかしない(解決の意見は言わない)人です。

左上(青)は馴れ合っているだけの人です。
何を言われても、聞かれても、「そうですね」と言う、実は、「どうでもいい」ということです。
このタイプは、自分に都合が悪い事が起きるとグレーに移動します。

グレーと青が、全体の2割を超えたら大変なことになります。
主体的な人に負担がかかりますし、主体的な人が頑張れば頑張るほどに多くのメンバーはその人に依存を強めます。

この感染が広がらないようにリーダーは注意しなければなりません。

右上(オレンジ)の人が多いと集団は勢いよく活動します。

右下(赤)も重要な役割です。
良くしようと考え、批判的な意見を言う人ですから、その存在を排除すると独裁になり、道理で考えれば明らかにおかしな事をやってしまう、危険な集団になる危険性があります。

目指すは、オレンジと赤の割合を8割くらいで維持すること。
もし、グレーと青が多かったら、オレンジと赤の割合を2割に引き上げ、全体に伝播されることです。

いずれにせよリーダーは、定点(今の状態)ではなく傾向性(どの方向に向かっているか)を観ることだと考えます。


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