100の言葉よりも、自分の姿で部下の気持ちを変えた、感動のリーダーシップ

百聞は一見にしかずと言いますが、どれだけ素晴らしい教科書を読むよりも、実際に体現している人を見た方が学びになります。
それを見て、カッコいい、素敵だと思えば、無理に強制しなくても人は動きます。

例えば、部下に自発的になって欲しいと思ったら、自発的に行動して心から愉しんでいる人の、リアルな姿を見るのが一番です。

先日、ある会社でリアルを体験しました。
僕が研修でお世話になっている、「一般社団法人 信州子育てみらいネット」(山岸裕始 理事長)です。
長野県内に「みらいく」という保育園を7箇所運営しています。

この少子化の時代に、創業7年で職員数100名を超えるまでに成長しました。

みらいくさんが急成長できたのは、創業当初から組織が大きくなることを想定して、人と組織の育成という、土台づくりに力を入れてきたからです。

その育て方が、まさに「百聞は一見にしかず」なのです。

先日、みらいくさんの新年会にお招きいただきました。
さすが保育園の新年会です。様々な面白い企画が満載でした。


酒を飲んでいないのに、なぜか僕もカチューシャをつけて踊っていた…笑

中でも異彩を放っていたのが、理事長のリサイタルです。
100人の職員を前に、ピアノの生演奏で歌を披露したのです。
全国、コンビニの数と同じくらいあるであろう保育園の中でも、理事長のリサイタルがある保育園は、みらいくさんだけだと思います。

僕は、最初は、理事長の自己満足の企画だと思ったのです。
だって、とても披露できるようなレベルではないからです 笑(失礼!)

1曲目が終わった時、山岸さんが、なぜ、この企画を行ったのか、その理由を語り始めました。

子どもの頃から、自分の声にコンプレックスを持っていたこと。
滑舌が悪く、会話をしていると、「え?何ですか?」と聞き返されることが多いこと。
クラスで、自分の喋り方のモノマネをする人がいて、辛かったこと。
人前で歌ったら、場が凍ってしまったという経験。
そんな経験から、人前で話したり、歌ったりすることを避けるようになったこと。
でも、それを克服しようと、ボイストレーニングのコーチをつけて練習していること。

「人は成長できる」…自分の思いを、実際に歌うことで職員の方に伝えたのです。

これは単なる演出ではありません。
100人の職員を前にして、演出としてやるには、あまりにハードルが高く、勇気が要ることです。
歌う姿から、勇気を振り絞っている様子が伝わってきました。

2曲目が始まった時、懸命な姿を見ているうちに、僕は涙が溢れてきました。
本当に、かっこよかった。

3曲目の後に、山岸さんは言いました。

「今、出来ないことがあってもいい。できる先輩や上司と自分を比べて落ち込むことがあるかもしれない。でも、挑戦すれば、必ず成長できる」

そして、力を込めて言いました。

「僕は、そんな人を応援し合える職場にしたい」

万雷の拍手が、止むことなく、ずっと鳴り続けていました。

僕は、ハンマーで頭を殴られたような衝撃を受けました。
僕の目の前で、挑戦するリーダーの姿に大勢の仲間たちが共鳴し、場が1つになったのです。

そして…
僕は、言葉以外で、何かを伝えられているだろうか?
1ミリでもいいから、成長できているだろうか?

万雷の拍手の中で、そんな自問をしたのでした。

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