あの日から27年、やっぱり人間は強く、紡ぐ力があると思った

27年前のあの日、僕は卒業間近の大学生でした。
夜ふかしが習慣だったから起床はいつも9時過ぎ。いつものように起きた瞬間にテレビを付けると信じられない光景が飛び込んできました。

映画、もしくは遠い外国の光景?…信じたくないという思いをよそに、画面には「神戸で大地震」の文字が踊っていました。

僕は長野県の人間で神戸の友人はまったくいなかった。今でこそ大勢いますが30歳になるまで1人もいませんでした。
そして神戸に行く機会もまったくありませんでした。

だから、本当に申し訳ないのですが、僕の中ではあの日の出来事はメディアが作り出したフィクションのように感じていました。

先月、仕事で兵庫県に行きました。
三宮に前泊をして夜の街を1人で楽しみました。よそ者の僕には大震災の痕跡を見つけることができませんでした。

そして昨日、様々なメディアが特集番組を放送しました。
そこに映る当時の街並みは、今とは大きく変わってはいますが、たしかに僕が歩いたあの街でした。

その瞬間、僕は目眩がしました。
今、テレビに映っているあの日の壊滅した街並みが、つい先月行った街並みに、どうやったら復活するのだろうと考えたら気が遠くなったのです。

高速道路も一般道も鉄道もビルも商店街も家も、それこそ丸ごと再生したのです。

僕は正直、大震災などの悲しい出来事から教訓を得ることに罪悪感を覚えるのですが、それでも得ずにはいられませんでした。

それはNHKの特集に登場した商店街のご夫婦です。
とても幸せそうに「助け合いがあったから立ち直ることができた」とおっしゃっていました。
当事者ではない僕が「あの出来事があったから今がある」なんて言えませんが、そんな趣旨のことをおっしゃっていました。

また別の方は「もう無我夢中で今日までやってきた」とおっしゃっていました。

僕は人間の生命力の強さに感動しました。そして勇気と希望が湧き上がりました。
きっと自分の中にもそんな生命力があるに違いない、そう思ったからです。

人間は強い。
助け合えば、どんな出来事でも紡いで未来をつくることができる。

僕もあなたもそんな力を持っていると思うのです。