最高のチームワークと豊かな創造性を生み出す賃金の出し方と組織の創り方

基本給が低く、成績に応じて出される成功報酬額が多い企業があります。
成果を出さないと生活ができない…そんなプレッシャーをかけ尻を叩く制度設計です。

これは以前の成長期では功を奏したと思いますが、成熟期では通用しないと思います。
なぜ成長期では通用したのか?
なぜ、今では通用しないのか?
どんな制度が求められるのか?

今日はそんなことを考えたいと思います。

目先のことに意識を奪われると、知恵が出ない。協働が起きない

僕が新聞店の社長に就任したのは24年前です。(昨年退任しました)
当時は新聞市場のピークでした。
過去最高の発行部数を記録したと同時に、翌年から衰退が始まった歴史的な転換点です。
時代の変わり目を体験できたのはとても貴重な経験でした。

成長期は「活動量がものを言う」時期です。
新聞の営業では、景品を持って1軒でも多く訪問すれば、断られても次に訪問する勇気があれば、ほとんどの人が成果を上げることができました。

組織も賃金も、活動量を最大化するために作られます。
組織は、地域担当性になります。
1人の社員が1つのエリアに責任を持つ組織形態です。
賃金は「アメとムチ」の発想に基づき、成功報酬型になります。
これが基本給は低く成功報酬が多いという賃金形態を生み出します。

活動量を増やせば報われる…そういう時代だったので、これらの制度は成り立ったわけです。
こんな形態をとっている企業は業種問わず、今でも結構あると思います。

ところが、時代が成熟期に入り、これまでのセオリーが通用しなくなりました。
成熟期は、モノに満たされた豊かな時代です。
生活者の欲求は、より高度かつ抽象的になります。

例えば、僕が子どもの頃、ファミレスは憧れのレストランでした。
キレイな店舗、豊富なメニュー、マニュアルに裏打ちされた安定の接客、キレイなお姉さん(笑)

今は、それ以上…例えば「おもてなし」などの高度なサービスが求められます。

目先のことに意識を奪われると知恵が出ません。
仕事を個に割り振り、そこで評価をすると協働が起きません。
創造性はゆとりを持った長期視点と、協働から生まれます。

基本給の安定、変動する賞与、チームで課題を持つ

まずは賃金を見直すことが大切だと考えています。
基本給を安定的に出すこと。
基本給は社員の生活の基礎ですから、ここが安定しないと離職率が高くなります。
できれば「高め安定」が良いと考えています。

「そんなことをすれば社員が安心して仕事をサボる」…そう考える社長がいますが、そんなことはありません。
社長は高給取りですがそんなことにはなりませんよね?
なぜならないか?
それはリスク(変動)があるからです。
業績に応じ給料を変えますよね?

社員の賃金もそれと同じようにすれば良いのです。
ただし基本給が変動すると生活が安定しないので賞与で調整します。

ただし、社長に会社を発展させる意思が欠かせません。
守りが前提だと、事実上、この制度は人件費抑制の策となり、社員の賛同が得られないからです。

仕事を個々人に割り振り、個々人を上司が管理するやり方も変えたほうが良いと考えます。
チームで課題を持つようにすることです。
そうすると「そんなことをすれば責任の所在が曖昧になる」と考える社長がいますが、そんなことはありません。

チームのワークで仕事を進める場合でも、最終的に自分の責任領域はできるからです。
その役割が個々人で違うというだけです。
責任領域は立候補で決めることだと思います。

そして「自分さえできれば良い」という発想を排除することです。
全員が自分の責任をまっとうすることで全体成果が出ますから、「自分だけ」の発想は全員が損をするからです。

困っている仲間を助ける、学び合う、時に叱咤する…これはチームとして課題に取り組んだ時に起こります。
これを部下同士でやってくれたらリーダーは嬉しいですよね?

基本給の安定
変動する賞与
チームで課題を持つ

これに加え、明るい未来を感じた時に、組織は最高の力を発揮すると思います。

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