なぜ、その街では教員と自衛官が子どもたちの憧れる職業になったのか?

「ウチなんて知名度がないし、規模も小さいし、憧れの職業じゃないし…」
中小零細企業って、求人をかけても人が集まらないことが多いし、こう言っちゃなんですが、バリバリ優秀な人材がいることは稀ですよね?

ただ普通に商売をしていたら…そうだと思います。
普通に、というのは商品・サービスを作って売る、仕入れて売るということ。
「どんな仕事をしているんですか?」と聞けば「○○を製造している」としか答えられない。
それだと冒頭の状況になると思います。

仕事の行為の「その先」にある事を考える、つまり意義を見出すことが大切で、それをすると状況が一変することがあります。

今日は、普通の職業がお客様にとって特別な存在になり、それに伴い社員が誇りを持つようになった事例から、仕事に意義を見出す重要性を考えたいと思います。

「先生」と呼ばれた自動車整備士

僕の友人に自動車整備工場を経営する方がいます。
初対面で彼に「どんな仕事をされているんですか?」と聞いたら「自動車整備工場です」と言いました。
ところが、1年後に再開した時は違うことを言いました。

「(自動車)オーナーの命を守る仕事をしている」

「おお、なるほど〜」と思ったのです。
しかもこれは掲げるだけのミッションではなく企業活動の軸、精神的支柱として存在しています。

ミッションを掲げてから、社内で「オーナーの命を守る」という事を真剣に考えました。
考えれば考えるほど、今行っているサービスだけでは物足りないという結論に達しました。
そこで、みんなで考え「オーナーが自分でできる車のメンテナンス」を顧客に教えて差し上げるサービスを提供することにしました。
具体的には、メンテナンス教室を開催しました。

講師は社員の整備士です。
教室中に前代未聞の出来事が起きたと言います。
それは、参加者が整備士さんのことを「先生」と呼ぶのです。

社員さんに確固たる誇り…「自分たちの仕事はオーナーの命を守ることだ」という意識生まれた瞬間だと言います。

自衛官と教員が憧れの職になった理由

僕は2010年から夢新聞という活動をしています。
手作りの新聞を書くワークショップですが、その新聞には未来の日付が入ります。
自分の夢・目標が実現し、将来、活躍が新聞に載ったとして、その新聞に何が描かれているか想像して書くのです。
これまでに全国で8900人以上が参加しています。

とても印象に残る夢新聞があります。
2011年、東日本大震災の年の11月に、岩手県大槌町で行った夢新聞です。
御存知の通り、大槌町は津波で街が壊滅しました。
多くの命と希望が一瞬にして失われました。

正直、僕はそんな場所で教室をやるのが怖かった。
でも、僕を出迎えてくれた子どもたちはとても元気で、未来を見つめ、復興を決意していました。

他のどんな地域にはない特徴がありました。
それは描く夢でした。

「自衛官になった」
「教員になった」

そんな夢を描く子どもが多かったのです。

その理由は、困難の時に自分たちを支えてくれた大人たちの姿を見たからです。
小学校の校庭に自衛隊の臨時キャンプができ、子どもたちは自衛官の思いを聞き、活躍を間近で見ました。

津波に襲われた時、子どもたちは学校にいて、先生の引率ですぐに高台に避難し、そこで3日ほど過ごしたそうです。
その時、先生にできることは教育指導要領には書かれていません。
1人の人間として子どもたちに関わりました。

その姿を見たから、教員が子どもたちの夢の職業になったと、現地の方が教えてくれました。

仕事の「その先」にあるものとは、人間です。
自分の仕事が誰かの喜びに貢献する、誰かの悲しみを癒やすものだと知った時に意義が生まれ、どんな職業も憧れの職になるのだと思います。

知名度や規模の大小なんて関係なのです。

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