社員が退職する時の、社長の対応をみんな見ている

社員とのコミュニケーションの中でも、最も重要なものの1つが「社員が退職する時の対応」だと思います。
社長の対応を、みんなが見ているからです。

最高の敬意を払い見送ることが大切、そう考えています。

退職者の扱いは組織の心理的安全性に影響する

社長が社員を邪険に扱うと、それを見た既存社員は「自分もいつか、あんな風に扱われるかも」と思いますよね。
それが退職者の場合、ばおさらだと思います。
人は卒業には特別な思いを馳せるからです。
たとえ仕事ができない人でも、問題を起こした人でも、敬意を表することだと思う。

その理由は心理的安全性に関わることだからです。
心理的安全性はグーグル社が2012年に「プロジェクトアリストテレス」で明らかにしました。
社内の数百に及ぶチームを調べ、成果を出すチームの根本原因を探ったところ心理的安全性が浮き彫りになりました。

優秀なリーダー、優秀なメンバーがいることよりも大きなインパクトを与えるそうです。

心理的安全性がないと、社員は萎縮します。
その弊害は、自由に発言ができなくなりクリエイティブを破壊することです。
エジソンの言葉じゃありませんが、ヒラメキ(アイデア)がないと、その後の汗(努力)はしようがありません。
企業の未来を決める一大事だと思うのです。

心理的安全性の確保には様々な要因が必要ですが、社長の社員の扱いはインパクトが大きいと考えています。
社長の本音は社員の退職時に出る。

どんな社員でも、功績がゼロという人はいないと思います。
色々と思うところがあっても功績にフォーカスすることです。

どんな事があったとしても功績だけを見つめること

僕は先代の父の急逝で24歳で社長に就任しました。
社員は父が育てた、文字通り父親と同世代の人ばかりでした。
年齢はみんな60歳を超えていました。
発想も古いし何よりも気持ちが守りに入っていたのが、僕には気になっていました。
時間をかけて入れ替えをする必要があった、これが現実でした。

当時、最も僕を悩ませた番頭さんがいました。年齢は67歳でした。
仕事をボイコットしたこともありました。新聞販売店は人的作業で成り立ちますから、ボイコットされると僕が全部やらなければならず本当に困りました。

サシで酒を飲み、僕の考え方を少しづつ理解してくれるようになりました。
他の社員に「新しい社長が会社を変えるって言ってるんだから、お前ら指示に従えよ!」と言ってくれたこともあった。
(指示ゼロ経営の会社も最初はこんな感じなのです 笑)

彼が70歳になった時に、僕は退職の話をしました。
伝えるのが怖かったし、彼も辛そうな顔をしていました。

退職日の午後5時過ぎのことは一生、忘れません。
皆んなで感謝の言葉を伝え、花束を渡しました。
彼の目には光るものがありました。

彼が「世話になった」と言い会社を出た、その瞬間、僕も無意識に外に出ていました。
どうしても、彼の姿が見えなくなるまで見送りたかったからです。
50ccのスーパーカブに乗る、彼の後ろ姿を見ながら、これまでの様々な思い出が蘇り、後ろ姿に最敬礼をしました。

先日、岩手県一関市にある京屋染物店(蜂谷悠介社長)で創業100周年の式典があり参列しました。
式典の中で感謝状授与の儀がありました。
誰か地域の名士にでも渡すのかな?と思ったら、ステージに登壇したのは古くから働いている社員さんでした。
これを機に退職される方でした。

蜂谷社長が万感の思いを込め「これまで支えてくれてありがとうございました」と言いました。
その社員さんの目にも光るものがありました。

社員とのコミュニケーションの中でも、最も重要なものの1つが「社員が退職する時の対応」だと思うのです。

これまでに、どんな事があったとしても功績だけを見つめることだと思います。

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