部下を皆んなの前で褒める行為が部下の自立とチームワークを蝕む

よく「褒めるときは大勢の前で、叱るときは個別に」と言われます。
大勢の前で褒める意図は、皆んなに良いお手本として紹介したいということだと思います。
見た人が「自分も褒められたい」と思い、行動が変わることを期待しています。
また、個別に叱る意図は本人のプライドを傷つけない配慮です。

僕は叱る場合の個別には賛成ですが、大勢の前で褒めることには反対です。
どうしてか?
それは部下が「自分軸」を失い自立しないからです。

褒める行為により部下の「自分軸」は破壊される

人前で褒められて気持ち悪い思いをした、そんな経験はないでしょうか?
もし、あれば自分軸で生きている方だと思います。
自分軸とは、自ら意義を見出して自らの意思で取り組むということ。
そういう人が気になるのは自分がやったことに対する結果だと思います。
自らをコントロールしている人は、他人のコントロールを嫌います。
そう、皆んなの前で褒める行為には上司のコントロールの意図があるわけです。

とは言っても、悪気があってやっていることではありません。
組織を、部下を良くしようと思ってやっている。

しかし、長い目で見ると弊害が大きいと考えています。

まずは「軸」を奪ってしまうことです。
僕にも奪われた経験があります。
会社員時代、僕はドラッグストアの店員でした。この業界を選んだ理由は、規制緩和の対象になり激動期が始まった時期だったからです。
マツキヨなど大手が急激に出店を始めた時期で、そこで学びたいという思いがあった。

働く目的が学びを得ることだったので、何でもやりました。
休日出勤、残業、振られた仕事は100%受けました。

すると、当然「あいつはやるな!」と本部から評価されます。
全社員が集まる会議で、皆んなの前で褒められました。

とても嫌だったことを覚えています。
理由は2つ。
1つは、徐々に、軸を失いそうになっていくのが分かったからです。
自分で意義を見出し自らの意思でやっていた事なのに、徐々に「褒められたい」と思うようになった、そのアラートが鳴り嫌でした。

動機がすり替わる、そんな体験をしたのです。
(それも今となっては良い体験です)

もう1つの理由が一番、嫌でした。

比較は人間関係のギクシャクの原因になる

もう1つは、僕が褒められているのを見た仲間の中に、僕を嫌う人が出たからです。
ひがみ、やっかみです。

多くの人が、育つ中で「あてつけ」に遭っています。
例えば、兄弟がいる場合、弟の前で「お兄ちゃんは立派だね〜」と褒めたとします。
こういう場合、親の意図は「アンタ(弟)もしっかりしろよ」です。

他人が褒めらたのを見た人の中に、あてつけの記憶が蘇り不快感を抱く人が出ます。
その人のエネルギーは上司(親)ではなく、まずは仲間(兄弟)に向きます。

無駄に人間関係の悪化を招く危険性があると考えるのです。

では、どうすれば良いか?
まずは軸を奪わないために、コントロールの意図で他人を褒めないことです。
そもそも褒める行為は、立場が上の者から下の者に行われます。
「よくやった」「偉い」と言った言葉は、上司から部下に言う場合、違和感はありませんが、逆だったら違和感タップリですよね(笑)

対し「ありがとう」「助かった」という言葉は、どちらが言っても違和感はありません。
こういう言葉を使う、、、というテクニックの話ではなく、コントロールの意図を手放すと自然と使う言葉が変わると思います。

そして比較をしない。
人材育成と組織開発は別物です。
1人1人が育ってもチームワークが悪ければ組織の生産性は低くなります。
比較をしていると関係性がギクシャクします。

リーダーには部下1人1人ではなく「チームとして」という視点が求められると考えます。
チームを1つの生命体のように観ること。
この視点を持つと、コミュニケーションの仕方も発する言葉も変わってきます。

個々の自立と組織の自律のためにはテクニックを超えた、リーダーの在り方が大切だと思うのです。

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