「突き抜けられない商品」に光を当てる、プレゼンの5つの問い
以前に、商売には「普遍性と独創性が大切」という記事を書きました。
1ヶ月以上前のものなので、改めてお読みください。
「ありきたり」では埋もれ「突飛」では売れない。顧客に選ばれる「普遍性と独創性」のベストポジション
記事中で、両者を兼ね備えたビジネスの作り方を考察したのですが、今日は、それが作れない場合の対策について考えたいと思います。
まず確認したいことは普遍性と独創性の定義です。
本記事では、普遍性を「効果があると認知されている」と、独創性を「斬新である」と定義します。
そして、注意しなければならないのは、普遍性、独創性の判断は100%顧客に委ねられるということです。いくら企業が主張しても、決めるのは顧客ということを忘れてはいけません。
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❚ 普遍性も独創性もない場合は?…脱・凡庸の戦略
普遍性と独創性を兼ね備えていなければ、プレゼンの工夫で魅力を引き上げることが有効です。
そのために、まずは両者を、次のような象限で分析する必要があります。
この中で、最も大変なのは「普遍性も独創性も低い」C象限です。例えば、テレホンカードなどがこれに当たります。いまやコレクターズアイテムとしての価値しかなく、一般人にとっては無用の長物です。
この象限に身を置く企業は、別の象限に移る必要があります。
今、Netflixで「陸王」を見ています。老舗の足袋メーカーが、その技術を活かし、ランニングシューズの市場に参入する物語です。このように、技術を別の分野に転用するなどの大胆な施策が必要です。僕は新聞店から別業態への転換を経験しましたが、その苦労は本当に大変なものです。
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❚ 独創性はあるが普遍性はないプロダクトの突破法
残る「独創性はあるが普遍性はない」(D)と「独創性はないが、普遍性はある」(A)象限の対策についてはプレゼンの技術で明暗が分かれます。
そこで、商品のプレゼンに必要な「5つの問い」について確認します。
「なぜ」「その商品を」「あなたから」「今」買わなければならないのか?
これに「本当なのか?」を加えた5つです。
この5つの問いに、どの順番で答えるか?に明暗がかかっています。
最初に「独創性はあるが普遍性はない」(D)から考えたいと思います。
この象限では、まったく役に立たないプロダクトであれば話になりませんが、価値はあるが、顧客が気づいていないという場合は「なぜ」から伝えると上手くいきます。
この象限に身を置くプロダクトは、かつての「いちご大福」がそうであったように、顧客に伝えた時に「なにそれ?大丈夫?」といった反応が返ってきます。
ですので、いきなり商品の特徴をプレゼンするのは危険です。
この象限では「なぜ」→「その商品を」→「本当なのか?」→「今」の順番で伝えるとうまくいきます。
実は、指示ゼロ経営がこの象限なので、僕の事例を引きながら解説しますね。
当ブログの読者であれば問題ありませんが、自律型組織は、まだまだ一般的にはマイナーです。
そこで、指示ゼロ経営を語る前に「なぜ?」から伝えなければなりません。
例えば、「変化が激しく正解がない時代で、リーダーは部下のモチベーションを引き出すのに苦労していると思います。それが、社員同士でモチベーションを発電するようになるとしたら?」というように。
ここで初めて「それを実現するのが指示ゼロ経営です」と伝えます。
すると、相手は「本当なのか?」という疑問を抱きますので、理論や導入法を、導入に成功した企業の事例を交え説明します。
最後に「組織風土の改革は時間がかかるので、できるだけ早く(今)取り組む必要があると思います」と提案します。
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❚ 普遍性はあるが独創性はないプロダクトのケース
次に「独創性はないが、普遍性はある」(A)ついて。
この象限ではライバルが多く、数多くある業者から自社を、あるいは似たような商品が多い中から自社商品を選んでもらわなければなりません。
この象限で勝負するための問いは「なぜあなたから?」に比重が置かれます。
その問い対する答えは2つあります。
1、他社と比べた、商品、サービスの優位性
2、事業や商品への想い
1の優位性に関しては顧客に聞くと良いでしょう。
実際に聞いてみると、例えば「駐車場が停めやすい」「一番近くにあるから」「スタッフの◯◯さんが好きだから」といった、こちらが優位性と自覚していないものが発見できると思います。
最後に「事業や商品への想い」に関して。
よく「今は何を買うか?よりも誰から買うか?が重要」と言われます。
何かしらの想いや情熱があれば、そのストーリーを伝えることで顧客からの共感を得ることができます。
ストーリーとは、過去→現在→未来を紡ぐ物語です。
想いや情熱は、何もないところに降ってくるものではなく、それを抱くキッカケとなった過去の出来事があるはずです。
同時に、想いや情熱がある人は夢や抱負も持っています。
過去→現在→未来をストーリーとして伝えることで、共感が生まれ「あなたから買いたい」と思ってもらえるということです。
例えば、僕が尊敬する社長に「完全アレルギー対応のパン屋」を経営する女性がいます。
商売を始めたキッカケはご自身の息子さんに重いアレルギーがあったからです。
お友達から聞く、ケーキやパン、お菓子など、子どもが大好きな食べ物を、何1つ食べたことがありません。辛そうな我が子を見るたびに、彼女も罪の意識に苛まれました。
「一度でいいから息子にパンを食べさせたい」…そんな思いでパンの修行を決意します。
そして「その瞬間」が来ます。
初めて焼き立てのパンを食べた息子さんは「こんなにもサクサクで美味しいものがこの世にあったのか?」と目を輝かせました。
その笑顔を見た瞬間に、彼女は、これまで抱え込んできた罪の意識からの解放されたと言います。
そして「親子でこんな思いができるなら、私はパン屋になる」と決意し、「その瞬間」を多くの人に体験してほしいという夢を持ってがんばっています。
さて、長くなりましたが、最後に象限別の対策を図解したものをお伝えして締めることにしますね。
是非、社内で共有してください!
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