成長とは未来の話じゃない。“過去・現在・未来”を繋ぐ物語の中にある。

優れたリーダーは「部下の成長物語」を描くのが上手…最近、そんなことを痛感した出来事があり、今日のブログで共有したいと思います。

先日、徳島市の「西精工株式会社」の朝礼を見学しました。
社長の西 泰宏さんとはホワイト企業大賞の審査委員仲間で、交流するたびに、その懐の深さを実感していました。

朝礼は経営理念とフィロソフィの唱和から始まりました。
どの企業もそうですが、経営理念は非常に普遍的であるがゆえに、聞くと「当たり前」と感じるものです。だから形骸化しやすく、気付くと「ただ唱和しているだけ」になってしまうんですね。

同社では唱和の後に、理念やフィロソフィなどを、現場でどう実践したか、4人で1つのグループを作り1人1人発表します。小グループには司会者がいて、発表者に質問を投げかけます。
それが終わると、各司会者が自分のグループで出た実践事例を全体に発表します。

その発表を受け、朝礼の進行役である係長が、メンバーを名指し深く質問をします。

・その実践の詳細
・実践により何が変わったのか。
・その実践の要点はどこにあるのか。
・次に何をするのか。

この流れは、以前にブログ記事で紹介した要点と同じです。
「チームメンバーみんなが賢くなる。成長が加速する日報の書き方」

これを係長クラスがやるのだから凄いことですが、それ以上に係長には何か特別な意図を持っているようで、僕はそこに注目しました。

その意図は、若い社員さんとのやり取りで観えてきたのです。
部下の方が自分の実践を振り返る中で、係長が「半年前に描いたなりたい自分に近づいている」という趣旨のこと伝えたのです。

まず驚いたのは、半年前のことを係長が覚えていることです。
その秘訣が知りたく、係長に質問をしたところ「部下の成長物語を描いているから」という結論に至りました。

これは僕の解釈ですが、成長物語とは「過去→現在→未来」を紡ぐストーリーを描くことです。
ここで大切なポイントは、過去を振り返ること。
成長というと「今から未来」というタイムスパンで考えますが、ここに過去を加える必要があると考えています。

図解しますね。

縦軸に「成長具合を、横軸に「時間軸」を置き、部下の成長を可視化した図です。
リーダーはつい、自分の理想と部下の現状とのギャップ(②)に目が行きます。すると「まだまだ」という言葉が増えます。
これを聞いた部下は、どんなことを思うでしょうか。「成長した部分(①)も見てよ」と思うのではないでしょうか。

優れたリーダーは必ず、過去から現在に至るまでの成長幅(①)を見ます。しかも、それを本人に確認してもらいます。
その上で、これからの成長目標(②)も自分で考えてもらいます。

いかがでしょうか。
件の係長が部下に投げかける質問の意図が観えてきませんか。

係長は、部下が成長物語を描けるようサポートをしているわけですが、同時にそれは係長が予測する成長物語でもあります。

その通りに成長すれば嬉しいですし、想定とは違う成長をしたら、それはそれで驚きを併せ持った喜びがあると思います。

人は、物語の中に自分の姿を観た時に、成長のシナリオを描き自律的に成長するのだと思います。

朝礼見学は、とてもエキサイティングな体験でした。

私たちはつい、部下に理想ばかり求めますが、部下の可能性を開花させる鍵は「過去からの成長」を基に物語を組み立てることにあります。
人は、自らの成長物語に確信が持てたとき、自律的に歩み始める。
リーダーの仕事とは、未来を指し示すことだけではなく、過去に感謝し、今を信頼し、未来に希望を与えることではないでしょうか。
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