チームメンバーみんなが賢くなる。成長が加速する日報の書き方

物事が熟達するには1万時間を要するという、いわゆる「1万時間の法則」があります。
米国のジャーナリスト、マルコム・グラッドウェルが提唱した概念で、モーツァルトもビル・ゲイツもタイガーウッズも、偉業の裏には1万時間を超える訓練の積み重ねがあったと言います。

ちなみにビル・ゲイツは、グラッドウェルの主張に対し「そうじゃない。私の成功は才能によるものだ」と反論したとか…

しかし、この「1万時間の法則」には大きな誤解があるようです。
それは「1万時間、何かを継続すれば成功する」という誤解で、真理はそうではなく「成功者には1万時間の継続があった」ということです。
1万時間継続すれば天才になれるなら、片道1時間の自動車通勤をやっている人は、20年後にはプロのレーサーになれるということですが、そんな人は1人もいませんね。

開花のためには密度の高い鍛錬が必要ということになります。

1日8時間、密度の高い仕事をすれば5年で開花する計算になりますが、実際には、8時間も高密度で働くことはできません。
8時間の中には、鍛錬とは言えないルーチンワークもありますし、つまらない会議の議事録作成や、「やっている感」を出すための報告書の作成などもあります。
そう考えると、高密度の時間はせいぜい1時間程度ではないでしょうか。

1日1時間だとすると、開花までにおよそ40年、定年退職の頃に開花する計算になります。
だから熟達者は圧倒的に少ないわけです。

この課題に対し、僕の師匠は密度を高める方法として「外化」と手法を教えてくれました。
外化とは、自分が経験したことを体系的に整理して、書いたり話したりアウトプットすることです。
ちなみに、僕はブログをマーケティングの道具としてではなく、外化の機会と位置づけています。
14年間、ほぼ毎日、1つのテーマで外化している人はほとんどいません。僕は、自律型組織に関しては、実践量(失敗体験も含む)に関しても、外化に関しても相当な自信を持っています。

外化を行うと、「貴重な1時間」を数倍も効果的にすることができます。

社員が日報を書いているなら、これからお伝えする方法で天才社員が育つかもしれません。

その方法は「具体」→「抽象」→「具体」のサイクルを回すものです。
自分の実践(具体)から、それが上手く行った(あるいは上手く行かなかった)秘訣、原因、法則を考えます(抽象)
そして、その法則を活かし、次のアクション(具体)を考えるのです。

僕の経営支援先の管理職は部下とのコミュニケーションでこの方法を活かしています。
例えば、ある日の日報は「部下のAさんと深い対話ができた」というタイトルから始まり、その秘訣を「仕事の話をする前に、プライベートな話をすることで心が開かれる」と分析していました。
そして「来週、Bさんと面談をするので、Bさんの息子さんが頑張っている部活の話を聞いてみようと思う」とアクションアイデアを考えました。

僕は、これまで多くの日報を目にしてきましたが、単なる「活動報告」になっているものが多く、勿体ないなぁと思っていました。

まずは日報の内容を改善してみてはいかがでしょうか。

外化を応用すれば、チーム全体の底上げを狙いうことも可能です。
月に1度で良いので、高い成果を上げた活動を1つか2つピックアップし、メンバーで「学び合い」を行うと、学びの相乗効果が起こります。

学び合いのやり方は次の通りです。

1、高い成果を上げた活動を紹介する。
2、3人〜4人1グループで、それが上手く行った秘訣・法則を考え、発表する。
3、それらの法則を活かし、各人が自分のアクションアイデアを考える。

アクションアイデアを実行し成果を上げた人が、次の「学び合い」の事例提供を行います。
これを繰り返すと「学習する組織」に昇華するのです。

日々の業務に追われる中で、希少な高密度な時間を、より密度ある学習機会に変えることで成長の軌道は大きく変わります。
日報の書き方を変え、学び合いの文化をつくれば「1万時間の法則」がより有効に働くと考えています。
.
※「記事が面白かった」という方は、是非「読者登録」を!読者優先セミナーや無料相談など、登録者限定の秘匿情報が届きます。


▷セミナー、イベント、社内研修のお知らせ

【残席2】指示ゼロ経営マスタープログラム12期(7月4日開講 全5回コース)

・自発的に共創するチームワークの条件
・短時間で豊かなアイデアを出す会議の進め方
・全員参加のプロジェクトの組み立て方
・自律型組織特有の部下との接し方
・自発的、継続的にPDCAを回すための仕組み
自分たちで課題を見つけ協働で解決する組織の絶対条件を学びます。

社内研修のご依頼はこちら
みんなで学び一気に指示ゼロ経営の文化を創る。
現在「社内研修」を2社、「研修から伴走までの完全パッケージ」は1社受け付けております

講演会を開催したい方
所要時間90分。経営計画発表会や新年決起大会の後に!
・自発的に働く意義と愉しさが体感できる。
・事例9連発!「自分たちにもできる」と行動意欲が高まる。