未来志向が組織を停滞させる!?…経営者が見落としがちな「今」の力

私たちは、子どもの頃から「未来のために、今、準備をする」という思考を訓練されてきました。
部活で勝つために、日々努力を積み重ねる。志望校への合格をゴールに学習計画を立てる。
ビジネスの経営管理、生産管理、タスク管理など「管理」とつくものは、すべて「未来のための今」という発想で作られています。

これはとても大切なことではありますが、使い方を間違えると本末転倒を起こす危険性をはらんでいます。
本と末、つまり先と後とが逆になってしまうんですよね。

私たちは、何のために仕事をしているか?…「末」=ゴールは「幸せな人生を生きること」です。そのためにビジネスで成功したく、そのために管理を充実させます。
志望校に行きたいのも、部活で頑張るのも、すべては幸福に接続されます。

ここで重要なことは「幸せな人生を生きること」とであり「幸せな人生を手にすること」ではないということです。
前者は、いつも幸福と共にあるのに対し、後者は「いつか手にする」という、私たちに染み付いた「未来のための今」という発想に基づいています。

別に、幸せに成るという考え方が間違っているわけではありません。未来の幸福のために今が犠牲になったとしたら本末転倒ということです。

話は変わりますが、僕の友人に、子どもに「幸生」(こうせい)という名をつけた人がいます。「こうせい」と音を先に決め、「幸せに生きて欲しい」という願いを込め「幸生」に決めたと言います。

幸福のあり方をどう設定するかで生き方は大きく変わります。
そして、実は、今を充実させた方が、結果的に成果物も手に入りやすくなることが分かっています。

時間感覚を忘れるくらいに物事に没入し、自分が環境の中に溶け込んだような感覚を「フロー」と言います。未来への過度な期待や過去への後悔、他人の評価などから解放された、今に深く集中した状態です。
フロー研究の第一人者であるミハイ・チクセントミハイは、フロー状態にある時に、人は、非常に高い創造性とパフォーマンスを発揮することを発見しました。
同時に、なんとも言えない愉悦、幸福感を覚えると言います。

つまり、今を幸福に生きることが、未来を手にする有効な手段ということです。
いや、いけませんね。もう「未来のための今」の罠にはまってしまっていますね。
罠にはまるとフローが遠ざかってしまいます。入ろうと思うと遠ざかるのですから、なんとも扱いが難しいものです。

ところが企業で行われている各種制度は、フローを妨げるものばかりです。
例えば、他者と比較する人事制度。結果を求められ未来に意識が奪われる目標管理制度。過去の実績で評価される処遇制度などがあります。

より良い未来を手にするために整備した施策が足かせになる可能性があるということで、こうした制度のあり方を根本から見直す必要に迫られると考えています。

未来のために生きるのではなく、今この瞬間を生きること。
いよいよビジネスは哲学の要素が欠かせなくなると思うのですが、いかがお考えでしょうか。

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